「キリスト教の戦士」がホワイトハウスを牛耳る! 「黒幕」バノン首席戦略官の力に迫る

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   ここ数日、トランプ米大統領の姿を周囲から異様に小さくしたネット画像が流れている。発言が子供じみているという風刺だ。その陰で首席戦略官兼上級顧問のスティーブン・バノン氏が米政権の黒幕としてクローズアップされてきた。イスラム圏7カ国からの入国禁止令作りを主導した側近中の側近だ。いまや「大いなるあやつり役」「バノン大統領」ともいわれる。ただし、政権入りしてから公の発言はほとんどない。どんな人物なのだろうか。

   米国にはバノン氏について「最強」「誰も止められない」と評する政治学者もいる。移民に対する強硬姿勢が寛容さや多様性という米国の政策を転換させ、世界に衝撃を与えていることをさす。

   1953年生まれの63歳。バージニア州出身で海軍、ハーバード大学ビジネススクールを経て、33歳で大手投資会社ゴールドマンサックスに勤めた、元はウオール街のエリートだ。しかし、2008年のリーマンショックで金融システムが混乱したのに衝撃を受けて生き方を変えたといわれる。去年(2016年)8月まで保守系ニュースサイト「ブライトバート」の代表を務めていた。「保守系」というと穏やかなイメージもふくむが、「右翼系」とよばれることもある。NHKは及び腰にならずに事実を正確に伝えないと、視聴者に実態がわからない。

   バノン氏は「イスラムや中国の勢いが拡大し、キリスト教やユダヤ教が後退している」「ヨーロッパではキリスト教が滅びつつあり、イスラム教が台頭している」と語っていた。 「ダース・ベイダーやサタンなど力あるものには闇がある」と述べたこともあり、何やら今日の状態を暗示する。

南部の労働者家庭で育つ

   そのバノン氏を古くから知る人に取材した。幼なじみのジョン・パドナー氏といい、同じ街の出身でブライトバートでも一緒に働いた。

   パドナー氏によると、バノン氏は電気工事作業員の父のもとで育ち、南部労働者の家庭環境で考え方を形づくられた。「ごく普通の家庭だが、彼は自分のルーツを忘れていない」という。リーマンショックで父の蓄えの多くが消えたことを怒り、金持ちは救済されたのに労働者は置き去りにされたと感じたらしい。そこから政治に関わり、ブライトバートでトランプ氏と対談、反移民の価値観を共有した。

   トランプ氏が移民の一部を「役立つ」と認めるのに対して、バノン氏は「経済よりこの国のあり方が問題なのだ」と、より強硬だ。何がきっかけでそうなったかは語っていない。

   その価値観に懸念が広がる。「バノン氏は白人至上主義者で、安全保障政策の中心にいるのはとても危険だ」(リッチモンド下院議員)、「右翼的思想を持ったナショナリストで、キリスト教の戦士のような存在」(ジョージ・メイソン大のメイヤー教授)というのが代表的批判だ。

   東大の藤原帰一教授は「バノン氏は政府のあり方を変えなければいけないという考えが明確で、イデオロギー性が強い。独特な存在感が今、大きな影響力をふるっている」と話す。

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