東京都議会は昨日(2017年2月20日)議会運営委員会を開き、豊洲新市場移転を決めた経緯などを解明するための百条委員会の設置で、各会派が合意した。自民・公明はこれまで反対していたのを賛成に変えた。これによって、石原慎太郎・元知事らに強制力を持って証言を求めることができる。
有害化学物質の検出で揺れている豊洲新市場は、もともと東京ガスの工場跡地。有害物質による汚染は知られていた。にもかかわらずいつの間にか、買収され、膨大な汚染対策費もかけ、挙句に盛り土が途中でネグられて、奇妙な空間に水が溜まった状態が明るみに出た。
いったい誰のせいでこうなった? 最初の決定から汚染対策、市場の施設の設計変更までの長い話だ。小池知事が投げた疑問もまさにここ。石原元知事よりも、石原氏を巧みに操ってきた人間がいるだろう――と。
ところが、メディアの追及はテレビ的に「絵になる」石原氏ばっかり。その石原氏は、「喜んで参考人受けますよ」「逃げも隠れもしない」。今回百条委になっても「受けますよ」「来週には会見をします」と言っている。
前回百条委の追及で「偽証した」濱渦氏辞職
都議会に百条委ができるのは12年ぶり。前回は05年5月だった。当時の濱渦副知事の発言が「ウソ」だと追及して、「偽証」と認定。濱渦氏を辞職に追い込んでいる。今回も、東京ガスとの交渉は濱渦氏が担当しており、引っ張り出される可能性もある。
それよりも、これまで百条委に反対してきた自民・公明が賛成に変わった理由が泣けてくる。「石原元知事が出てこなかった場合、困るから」(公明)というのだが、石原さんは「出る」と言ってるじゃないか。むしろ、ここで抵抗すると都議選にマイナスという判断は明白。公明が動けば、自民が反対しても、議会の過半数はいってしまう。そこで自民も――ということだった。
「公明が動いたら、乗らざるをえない。百条委をやりたくないというと、批判を食らう」とある自民党都議は正直にいう。
夏目三久「百条委がどういうものかを確認しますと――」と説明。要するに出席を拒否したりウソをついたりしたら罪になる。そこだ「参考人」とは違うということ。
今回追及のポイントは3つ。(1)築地市場移転の経緯(2)東京ガスとの水面下の交渉(3)豊洲建物の下に盛り土しなかった理由――だ。
龍崎孝(ジャーナリスト)は、「二番目の水面下の交渉ですね。価格交渉の経緯。また石原氏がどこまで関与していたか」という。さらに「調査なくして質問なし」とボードを出して、「質問する側も十分把握しないといけない。単なる政治ショーにしてはいけない」と言った。
議会にも責任があることを忘れないようにしないとね。