大阪市内の国有地を私立の小学校へ払い下げた金額が安すぎると問題になっている。おまけにその学校の名誉校長が安倍首相の昭恵夫人だというので、先週金曜(2017年2月17日)の衆院予算委で野党が追及した。首相は「私や妻が関係していたのなら、総理大臣も国会議員も辞める」といったのだが......。
問題の国有地の払い下げを受けたのは、塚本幼稚園を運営する学校法人。この幼稚園では、昔の「教育勅語」、例の「朕惟うに我が皇祖皇宗国を肇むること宏遠に......」というやつを、園児が暗礁している姿がHPに出ている。
評価額と売却額の差が8億2000万円
この法人が4月に小学校を開校するというので、土地を購入したわけだが、問題は値段だ。評価額が9億5600万円なのに、売却額が1億3400万円。8億2000万円もの開きがあった。「どうして?」と調べてみると、HPに「名誉校長安倍昭恵先生」と、にっこり笑った首相夫人の写真があった。しかも、財務省はこの売買を公開していなかった。
17日の衆院予算委でも、「この法人が寄付を集めている用紙には、『安倍晋三記念小学校』という名前を使っている」(民進・福島伸享氏)と追及された。首相の名前を寄付集めに使っていたわけだ。安倍首相は、「安倍晋三小学校を作りたいという話はあったが、そこでお断りしている」と答え、「認可にも売買にも関係していない」と、冒頭の言葉につながった。
「ゴミの撤去費用引くと適正」と財務省
ひどい学校法人もあったものだが、それはそれとして、金額はどうなのか。財務省の佐川宣壽・理財局長は、「学校の建設工事中に、新たな地下埋没物が見つかり、そこに様々なゴミ等が発見された。その撤去費用を差し引くのがいわゆる時価なので」と答えた。「適正な価格だ」と。
「あさチャン」は不動産屋に聞いた。「なん億円もかかるものが埋まってるなんて夢にも思ってないと思う」と業者はいう。やっぱり、埋まっているという前提で安く売ったということか。だが取材した方も、相場を聞いただけ。追求した国会議員さんも、金額の差だけ。撤去費用の見積もりが適正かどうかが問題なのだが、そのあたりを詰めていない。
夏目三久「安倍総理は関与を強く否定しているわけですが、どうですか」
龍崎孝(ジャーナリスト)「この価格が本当に適切なのかどうかは、資料を検討する必要があるが、大事なのは、国有地の払い下げは、公開が大原則。今回は公開請求があった時、近畿財務局は公開しなかった。もし、その判断根拠の中に、安倍総理が関わっているから、というのがあったとしたら、あってはならないこと。夫人の関わりは不用意なことだ。総理も国民に説明しないといけない」
どう聞いてもおかしな話だ。