防犯カメラがとらえていた13分21秒 フジテレビの特ダネ映像が語る犯行

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   北朝鮮の金正男氏がマレーシア・クアラルンプール国際空港で殺害された事件。フジテレビが、殺害に一部始終を6台の防犯カメラが13分21秒にわたって撮影した映像を入手し、20日(2017年2月)の「とくダネ!」で独占スクープとして伝えた。

   映像には、犯行前にグレー系のスーツを着た金正男氏が空港内を歩く姿やその前に立ちはだかる黒い服の女、同時に白いTシャツの女が後ろから金正男氏の顔に何かを塗り付ける姿、金正男氏が空港スタッフにジェスチャーを交え被害を訴え、その後意識を失うまでわずか10分足らずの一部始終を克明にとらえていた。

Tシャツの女が後ろから飛びかかる

   犯行が行われたのは3階の出発ロビー。出発直前とあってロビー内はかなり混雑しているなかで行われた。金正男氏が自動チェックイン機に向かって歩く姿をカメラが捉える。その前に黒い服の女が立ちはだかる。同時に金正男氏の後ろから足早に近づいた白いTシャツの女がいきなり飛びかかるように左腕を金正男氏の首に回し、右手を顔に押し付けた。

   この間わずか2.5秒、犯行後白シャツの女は足早に、黒服の女は走って逃げ去ったが、殺人が行われたとは周囲の誰もが気づかない一瞬の出来事だった。

直後はしっかりしていた金正男氏

   不思議なのは、その後の金正男氏の挙動。しっかりした足取りでロビーにいた空港の女性スタッフに被害を訴え、女性スタッフの案内で警備員のところでもジェスチャー交じりで説明、さらに1階下の医務室に連れてこられた。女2人に襲撃されてからこの間10分ほどだったが、普通の足取りで歩いてきた。ところが医務室に入った途端に椅子に崩れ落ちたという。

   3階ロビーには近くに飲食店があり、そこで4人の男が女たちの犯行を見張っていたことが確認されており、実行犯の女たちや4人の男が逃げる時間を計算し、効き目を遅らせる毒物が使用されたのだろう。金正男氏は女たちの襲撃から30分後、搬送中の車の中で死亡した。

マレーシア警察が男4人の実行グループ特定

   マレーシア警察は犯行後6日たった19日、初めて記者会見し男4人の実行グループを特定、他に犯行に関わった3人がいると発表した。

   男4人は37歳~57歳の男でいずれも北朝鮮国籍。犯行直後の13日にすべて出国しており、マレーシア警察は「どこへ行ったかは明かせない」と話している。ただ、地元メディアによると、ジャカルタ→UAE・ドバイ→ロシア・ウラジオストクを経由して4日後の17日に北朝鮮・ピヨンヤンに戻ったという。

   一方、逮捕された実行犯の白いTシャツの女は、ベトナム国籍のドアン・ディ・フオン容疑者(28)。黒い服の女がインドネシア国籍のシティ・アイシャ容疑者(25)。

   シオン容疑者によると、「襲撃する45分前にロビー内の飲食店で男4人から液体を渡された。軟膏か乳液のような液体で、手袋に点け金正男氏の顔につけた。その後、すぐに女子トイレで手袋を外し手を洗った。液体が毒物とは知らなかった」と供述。また、アイシャ容疑者は「日本のテレビ局からいたずらを仕掛けるドッキリ番組の出演を持ち掛けられた」と話しているという。

   伝えた笠井信輔アナが「あまりの手際の良さから、本当に素人なのかという見方と足早に逃げるあたりはプロの工作員とは思えないとの見方もある。しかも10人もの実行グループがいて一番重要な殺害の実行を素人に任すなんてあり得ると思いますか?」と疑問を呈した。

   しかし共同通信編集委員の磐村和哉氏(元平壌支局長)は「前日同じ場所でリハーサルをやっていたと言われているから素人でもこうした動きはできると思う。素人に殺害を任すのはあり得ると思う。失敗しても暗殺グループの方にはなんの害もない。2人の女は捨て駒に使われたのが映像でよくわかる。不思議なのは、犯行で周りの人が何ら気づいていない点だ。この毒物は臭いもしていない無臭の可能性がある」という。

   毒物についてマレーシア警察は「特定できていない」状態で、現地の毒物専門家は「目的に合わせ、より効果的に化学物質を混ぜて作られた可能性があり種類の特定は難しい」と見ている。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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