おととい(2017年2月14日)午後1時過ぎ、東京都品川区大井のマンションに住む女性から、「息子がいなくなった」と110番があった。警察が調べたところ、1階のフェンスに宙吊りになっている中2(14)を発見したが、死亡が確認された。インフルエンザ薬による異常行動の可能性があるという。
中2生はこの日午前、医療機関でインフルエンザと診断され、治療薬「リレンザ」を服用後寝ていたという。母親は外出したが、戻ってみると姿がなかった。窓は開いていたといい、自分で外へ出た可能性が高い。
夏目三久「インフルエンザ薬をめぐっては、過去にも事件が起きていますが、薬との因果関係が......」
過去にも「タミフル」で異常行動
インフルエンザ薬による子供の異常行動は以前から報告されている。2007年、「タミフル」を服用した仙台市の中2(14)がマンションの11階から転落して死亡。また、愛知・蒲郡市でも中2女生徒(14)が、マンションの10階から落ちて死亡している。ために厚労省は、「10歳以上の未成年者への『タミフル』の使用を差し控える」ことを通達。輸入業者が、注意書きを追加するなどの措置を取った。しかし、事故と薬の因果関係は不明のままだった。
今回は「リレンザ」で、医師は「錠剤であるタミフルと違って吸引する薬なので、副作用は起こりにくい」というが、あまり根拠があるとは思えない。
厚労省の統計では、2015-16年に報告された異常行動58件のうち、リレンザのみ服用が3件だったが、何も服用していないのに起こったものが8件もあり、究明できていない。リレンザもタミフル同様、2008年から「注意書き」を添付している。「薬の有無にかかわらず、異常行動が多い」と書かれている。
「薬の有無にかかわらず、異常行動」と厚労省
なぜ未成年者に異常行動が?
ある医師は、「体は大きいんですが、脳細胞の未熟性がありますので、どうしても薬の副作用、あるいはインフルエンザそのものの症状を超す可能性は高いと言われています」という。
随分と適当な解釈だが、リレンザもまた、異常行動と薬との因果関係はわからないままだ。異常行動多発からざっと10年。製薬会社は何をしていたのか。厚労省は、「インフルエンザにかかった子供は、薬の有無にかかわらず、異常行動が起きることがある」との解釈だ。つまり、元はインフルだと?
そんなことで薬が相変わらず使われているとはね。飲ませたあとは、縛っておくしかないのか? それじゃあ、事故に遭った本人と家族は浮かばれない。