叔母の死から運命が暗転
運命を決定づける出来事があったのは3年前の2013年12月、北朝鮮のNO2 で金正男の後ろ盾だった張成沢が、金正男を担いでクーデターを企てたとして処刑されたことから。
番組にゲスト出演した朝鮮半島の政治・外交事情に詳しい東京国際大学の伊豆見元教授は悲運ともいえる金正男の運命を次のように見ている。
「金正男の母親である成恵琳は韓国から来た人。その息子だから後継者としての正当性がなく、(後継者に)なれない。ただし、将来もうちょっと年を取ると権力者の地位を狙えるような立場にいる人ですから今の体制からは目の上のたんこぶだった。
処刑された張成沢の夫人は金正自治総書記の実の妹ですから金正男にとって夫人は叔母に当たる。その夫人が金正男をかわいがっていたが、2013年9月に亡くなったのが実は大きかった」
このため金正恩委員長が暗殺指令を出したと伝えらたこともあったが、ではなぜこの時期に暗殺を強行したのか? 伊豆見教授は「金正恩体制になった5年、権力基盤が固まったという感じで、自信を持ってきた。排除できると考えたのかもしれない」と話す。
小倉が「処刑や暗殺が続くと、今の北朝鮮ではクーデターとかは起こり得ないですかね」と尋ねると、伊豆見教授は「それを一番気にしているのが権力者。金正日総書記の時代にも軍の中で不穏な動きがあったのがつぶされたと言われている。それは今も変わりない。ちょっとでもそういう動きがあれば徹底してつぶしていく」という。
コラムニストの深澤真紀が「まるで中世の王室。シェイクスピアの4大悲劇になりそうな話だ」と漏らしていたが、まさに暗黒の中世そのものの国が隣りでミサイルの実験に狂っている。