時代の悩みを詠んだ川柳110万句 ストレス発散のいい文化に定着

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   ノー残業 居なくなるのは 上司だけ

   五七五の17文字に愛や笑いや悲哀を込めたサラリーマン川柳が、今年(2017年)も応募5万5000句からベスト100句を選んで発表された。傑作のいくつかをサラリーマン漫画で人気の田中光さんの挿し絵とともに紹介すると、そこに今の世相と市民の暮らしが浮かんできた。

   まずは世相を写す作品から。

   残業は するなこれだけ やっておけ

   残業を命じられる部下の愚痴かと思ったら、作者は管理職の男性(55)だった。「自分の矛盾を句にしてみました」という。

   ゲストは2人も元サラリーマンのお笑いコンビ中川家。「切なさ、情けなさの後にちょっと笑えるのがポイントですね」と、やや切なそうにコメントした。部下の立場からは「シン・ゴジラ 俺の会社も 踏んでくれ」というのもあった。

   今年30回目で、1986年に始めた当初は生命保険会社の社内広報企画だったが、予想以上におもしろかったので一般から募集するようになったという。これまでに110万句が集まった。この間、バブル期から金融危機やリーマンショックを経て日本に厳しさがました。

   こづかいも マイナス金利と 妻が言う

   本物の ビール3本 我が爆買い

   経済アナリストの森永卓郎さんは「時代時代の悩みが現れます」と話す。

女性、若者に川柳が人気

   今年は女性が3分の1を占めた。

   落ちたのは女子力、体力、保育園

   ハロウィンに 何故か溶け込む ノーメイク

   芸人の横澤夏子さんは「怖い、ノーメイクがいちばんお化けに近いんじゃないですか」と、自らをも笑う。「これ、つっこめないな」(中川家)と、スタジオにも笑いが広がった。

   ゆとりでしょ? そう言うあなたは バブルでしょ?

   これは名古屋の会社で事務をする高木尚美さん(20代か)の一句。上司から「ゆとり世代は指示しないと何もできない」と言われたのに反撃した。「そうひとくくりで言うあなたは何者なのと答えたくなりました」という。

   上司側からも一言あった。

   新人の トリセツ欲しがる 管理職

   運送会社の男性管理職(57)は「若い人は自分で覚える気がないから、トリセツ(取扱説明書)みたいなものがあれば楽できる」とチクリやった。

   一方で「新人は ペンを取らずに 写メを撮る」という句もあった。

   横澤さん「私もメモをスマホで撮っちゃう」

   森永さん「最近の学生は黒板をノートにではなく写メに撮る」

   女性や若者に川柳が人気のわけを森永さんは「SNSやツイッターで短文文化が浸透した。昔はサラリーマンの愚痴、最近は働く女性の不満のはけ口になってきた。庶民のたくましさが出ている」と分析する。

文   あっちゃん
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