豊洲移転のきっかけは再選果たした石川・千代田区長というパラドクス
小池のうまさは具体的な敵を次々につくりあげる政治手法にあるが、心配なのは肝心の豊洲移転や東京都の改革がなかなか進まないことである。
先週は小池の私設ボディガードが元AV俳優だったと報じられたが、今週も各誌でさまざまなことが報じられている。
週刊新潮では朝鮮総連と蜜月の関係にあった父親の息子が、かつて小池の秘書にいたという。だが、それより大きな問題は週刊朝日が報じている、豊洲移転のきっかけをつくったのは、先日5選を果たした石川区長だったという記事だろう。
朝日によれば、都庁にいた石川氏が築地市場移転に関わったのは、青島幸男が知事に当選した95年の6月、彼が港湾局長の時だという。
青島は都市博を公約通り中止し、開発を予定していた多くの企業が見直しを余儀なくされた。豊洲市場用地を後に都に売却した東京ガスもそうだったが、その時、東ガスに声をかけたのが石川局長だったそうだ。
「石川さんが初めて築地の豊洲移転の構想を提案したのです」(築地市場幹部)
当時築地は営業しながら再整備を勧める予定だったが、その方針がガラッと変わったというのだ。
青島の特別秘書をしていた辺見廣明が市場関係者らの面談の席で「豊洲移転」で動いていると話したそうだが、辺見は記憶にないという。
だが豊洲移転に「石川氏がどの程度関与していたのかはわかりませんが、彼は自民党の内田都議と仲が良く、業者との蜜月が過ぎるという噂が絶えなかった」ため、青島の判断で港湾局長職は1年間だけ代わってもらったそうだ。
この問題に詳しいジャーナリスト池上正樹は、都は市場の人たちには内緒にして港湾局主導で豊洲の調査や交渉を行っていた。臨海再開発の失敗による財政悪化で、築地を移転して売却するしかなくなったと話している。
週刊朝日は石川に直撃しているが、例によって、20年以上前のことだからわかんないという。だが、青島時代に一旦ご破算になった豊洲移転は水面下で交渉が継続され、石原都政で実を結んだというのである。
だとすれば、石川区長も呼んで喚問しなければいけないのではないか、小池都知事さん。