「トランプ大統領は急に入国禁止令を出してアメリカに入って来られない人が出るなど、心配な状況ではあります。それにトランプ大統領は、とにかく毎日何をやってくるのかわからない。しかし、いますぐにパッパッパと急いで対策をする必要はない。じっくり腰を据えて、状況を見定める」
これは週刊現代の特集「有名企業の会長・社長が語る『わが社のトランプ対策』」の中で、メキシコに自動車用ガラス工場を持つ旭硝子・石村和彦会長の談話である。
一企業のトップでさえ、熱病に浮かされたようなトランプ政権はもう少し様子を見てから対処するべきだと考えているのに、安倍首相はトランプ王へ50兆円を超すといわれる貢ぎ物を抱えて、ワシントンにすっ飛んで行く。
対するトランプ側は、都合のいいゴルフ相手がきたとしか考えていないのだろうか、1ラウンドハーフもやる予定を入れているそうだ。
私も下手なゴルフをやるからわかるが、上手なヤツと回ってたたきのめされると、自分の全人格を否定されたような気がして、落ち込む。トランプはシングルハンデで、落ちたとはいっても70台から80台前半では回るという。
安倍の腕前は「100前後に落ち着くことが多い」(週刊新潮)という程度のアベレージゴルファーだから歯が立つまい。そう考えると、精神的に相手より優位に立って交渉を有利にまとめようというトランプ流のネゴのやり方なのかもしれない。安倍危うしである。
訪米には麻生副総理と岸田外務大臣が同行し、麻生は経済・通商分野で、政権側とやりとりするようだが、週刊文春によれば、幹部には投資銀行ゴールドマン・サックス(GS)出身者がズラリと並んでいるそうだ。
GSにいてその後独立した神谷英樹は、政権入りしたGSの連中は、トランプなど小さな不動産会社の社長で、トランプの部下になって尽くそうなどという考えは皆無だといっている。
「政権に入り込み、自分たちの業界に有利な規制緩和や収益機会を作り出そうとするでしょう。彼らにとって、金融の"知識格差"をテコに、リーマンショック後に大手銀行を縛ってきた規制を骨抜きにすることなど容易いことなのです」(神谷)
日経新聞「アメリカのインフラ投資に日本の公的年金を活用」とすっぱ抜き
貢ぎ物は「日米成長雇用イニシアチブ」といわれ、鉄道整備への投資やロボット開発の共同研究などを含めて、アメリカの雇用に多大な貢献をするものだというから、安倍首相のいう「どちらの国もウィンウィンの関係を構築することができる」という説明は信じがたい。
また日経新聞がすっぱ抜いたが、このアメリカのインフラ投資に日本の公的年金を活用するという、とんでもない考えまであるというのである。
この報道に菅義偉官房長官が激怒したらしい。そもそも政府には公的年金の出資先を指定する権限がないそうだし、この情報は実際の資料作成に携わっていない経産省幹部のリークのようだが、安倍政権に公的年金までトランプに差し出そうという「思惑」があったのではないかという疑問は消えない。