人気のレシピサイトに公開された料理の動画が命に係わる危険なレシピだと物議をかもしている。海外では、Googleが記事の真偽を確認し正しいものには「Fact Check」を付ける取り組みを始めているが、日本ではまだ。さて、どう見分けるか...。
おかずからおやつの菓子まで誰でも簡単につくれるレシピのサイト「デリッシュ・キッチン」。フォロワー数が200万人と国内最大級の料理動画サイトで7日(2017年2月)、あるレシピが削除された。
このレシピは「生タマゴを冷凍庫で一晩凍らせ、翌日に解凍して黄身だけを3時間ほどしょう油漬けにし、温かいご飯に挟み込み完成」という簡単な料理。ところが、この動画を見た人から「食品衛生上、絶対やっちぃけない」「なんか、食中毒になれと言わんばかりの料理だなぁ」と批判が殺到した。
確かに、食品衛生の専門家も「タマゴは過熱しない限り菌は死なない。冷凍したタマゴを解凍し温かいご飯に入れると菌が増殖し食中毒を引き起こす危険がある」と警告する。
「デトックス効果」とか大ウソ、むしろ危険
さらに番組が問題視したのはダイエットに効果があると謳った「塩水洗浄」(ソルト・ウォーター・バッシング)。ネット上の記事によると「小さじ2杯の天然塩を溶かした水1リットルにレモン汁大さじ2杯を加え朝一番20分以内に飲み切る。効果を得るには前夜の食事を抜くのが条件」という。
ネット上には「腸に汚れをごっそり一掃」とか「デトックス効果抜群」などと絶賛する言葉があふれているという。
しかし東京・世田谷の井上病院の井上毅一院長は「成人の食塩摂取量は1日10グラム。この量(小さじ2杯分)を一気に飲むのは絶対ダメ。食道や胃に出血することもあり、高血圧、腎不全、肝不全の可能性がある」と指摘する。
司会の小倉智昭「前の晩の食事を抜いて翌朝1リットルの塩水だけなら体重は減りますよ」。では、なぜこのような根拠のない塩水洗浄がネットで拡散したのか?
森本さやかアナによると、「アメリカの人気歌手、ビヨンセが「『レモネード・ダイエット』で10日間に9キロ減量に成功」という噂の一部にこの塩水洗浄があり、これを切り取って日本のネット記事に掲載されたのが拡散の始まりという。
ネット以前には本や雑誌が
コラムニストの深澤真紀「ネット上だけの問題にしてしまうのは実は問題で、ダイエットや健康情報は本や雑誌でもかなり取り上げられたが、今残っているものは何もない。もともとメディアが抱える健康情報には問題がある」。
小倉も「テレビはいま自主規制が厳しくなってあやふやなものは取り上げられないが、昔、紅茶キノコや自分の尿を飲む尿療法などのブームを作ったのはテレビ。それが今、ネットで同じような現象が起きているということなのだろうね」。
テレビやネット上で専門家の意見を頻繁に取り上げるが、ITジャーナリストの三上洋は「ネット上の記事には自称・専門家もいてチェック体制がない」と指摘している。