トランプ大統領の入国禁止令をめぐる攻防は7日(2017年2月、日本時間の8日朝)、連邦控訴裁判所で大詰めを迎える。差し止めを訴えたワシントン州と控訴している連邦政府双方からの聞き取りを、電話の「音声公開」で行うという。直ちに決定が出る可能性もあるが、始まるのが「あさチャン」が終わった午前8時から。
この問題ではまた、アップル、グーグル、フェイスブックなどアメリカを代表する130社が「企業活動に重大な損害を与える」として、連邦控訴裁判所に意見書を提出しており、ワシントン州の「憲法違反だ」との訴えとも説得力がある。ただ、トランプ氏は最高裁まで争うといっている。
「あさチャン」は、世界各国のメデイアがこれをどう伝えたかを並べた。これが結構面白い。
意外とメキシコの新聞は冷静
国境の壁の建設に直面しているメキシコの新聞は、冷静だった。「エル・ウニベルサル紙」は、「判事への個人攻撃、トランプへの非難集中」。「ミレニオ紙」は、「入国禁止一時差し止めにホワイトハウス『腹立たしい』」などなど。
中国の国営テレビは、「狂政」(やりたい放題)という言葉を使ってトランプ報道を続ける。「狂政のため八方に敵を作り、波風を立てている」と言った具合。司会者は、「これまでのどの大統領とも違う。だから、彼のカードの出し方がわからない」
環球時報の英字版は、子供たちの映像と声を並べた。「演説のいろんな表情から、ちゃんとした人じゃない気がする」「メキシコの壁は乱暴な解決方法だ」と大人顔負け。
ドイツでは、ドイツ流の皮肉が......。世界各地の鉄道模型を展示するテーマパークでは、アメリカの展示物の周辺に「壁のように」有刺鉄線を張り巡らしてあった。また、週刊誌「デア・シュピーゲル」の表紙の絵が物議を。トランプ氏とおぼしき人物が、右手に自由の女神の首を、左手に血の付いた包丁を持っている絵だ。
サウジアラビアでは、トランプ風に作ったコメディアンが、脇に立っている女性をさして「このような金髪がいい。ロシア人がいい」「歓迎しない人には、フェンスに電気を流し、イスラム教徒とメキシコ人が触ると感電する」
フランスの生放送のバラエティ番組では、司会者がまず、「メキシコ出身の人は出て行って」。一人の男性が立ち去る。次いで「女性は全員出て行ってください」。男性ばかりが残ったところへ、「外国人は出て行って」。結局、誰もいなくなった。
トランプ氏を選んだのもアメリカ人なら、拒否するのもアメリカ人。もともと間違うことが多い人たちなのだが、自戒の能力では多分世界一。いずれ答えが出るだろう。