東京・千代田区長選挙での圧勝を受けて、夏の都議選へ向かって小池劇場が動きだした。小池都知事が主導する「都民ファーストの会」は6日(2017年2月)、4人の都議選公認を発表したが、さらに70人規模の候補者を立てて、都議会多数派の形成も視野に入れるという。これは、否応なしに政界再編につながる。面白い。
小池知事は昨日(6日)、選挙結果について「東京大改革への期待を訴えたことが、プラスアルファにつながった」と言ったが、これは建前だ。本音は、選挙中にいっていた「代理選挙、その通りです」という都議会自民党との対決だった。小池氏はこれに勝った。得票差3.4倍の圧勝だ。
「単独過半数を目指すのか?」という問いに、「様々な可能性を求めていく」と答え、否定はしなかった。どころか、「都民ファーストの会」は、都議選に4人の追加公認を発表、さらに全選挙区に候補者を立てる「総力戦」を検討していることも明らかになった。小池与党の形成だ。
この日発表された公認は、都知事選で小池氏を応援したために、自民党を除名になった区議7人(通称「7人の侍」)のうちの村松一希、尾島紘平、両練馬区議と、民進党に離党届を出した元都議2人、伊藤悠氏と増子博樹氏。尾島氏は「東京大改革の実現には数が必要。目指すは過半数」という。
小池氏は民進党にも手を突っ込むのか?
元民進党都議2人は、小池氏の政治塾「希望の塾」にも通い、選抜試験も通った。都議を2期務めており、次回大量に出る新人の指導にも当たれる。また、伊藤氏は豊洲問題に詳しいという。
それはともかく70という数字の意味だ。都議会の定数は127人。過半数は64になる。しかし、現在の議席のうち、組織力のある公明党(22)を除く104~105から70をとるのは大変なこと。
龍崎孝(ジャーナリスト)は、「政治塾には3000人くらいが参加しているが、全く初めての人を起用するよりは、自民とか民進とかの議員、あるいは経験者を引き込む方がやりやすい。『都民ファースト』が間口を広げた」という。
小池知事は、新聞のインタビューに、頭にあるモデルは「日本新党」だが、同党が離合集散を繰り返した反省から、「持続的な活動可能な候補者選びをする」と言っている。
龍崎「風があれば、新党だと一回は当選できる。が、それではダメ。小池さんが長期的に安定した政権(都政)を運営するには、何度も当選してくる人が必要になる」
では、どんな風に? と選挙区で見てみると、龍崎の説明はなかなか分かりやすい。
まず、6つある1人区は全部自民が占めている。ここに民進党が挑み、小池新党が加わると、民進が割を食う。「だったら、小池新党に加わったほうがいいと、民進からのくら替えもありうる」
次に2人区は大方、自民と民進(あるいは他党)が多い。ここに小池新党が挑むと、やはり割を食うのは民進となり、同じことが起こる。「そのほうが、議員にとっても小池さんにとっても都合がいい」
夏目三久「民進党はどうなるんですか?」
龍崎は「都議会再編は、やがて国政へも影響するかもしれない」という。
もともと小池さんだって、日本新党から色々だからね。風も読めるし頭も柔らかいのかもしれない。