クレームに振り回される食品業界
その誤用が消費者の間に高じたあげく顧客との関係をめぐり揺れ動いてきたのが、異物混入問題で悩まされてきた食品業界。企業イメージ悪化を恐れ1匹の虫の混入のために、虫が混入していない商品まで大量に回収せざるを得ないのが現状だ。
年間200件ほどの異物混入の苦情が届く弁当用のミートボールを製造する千葉県の会社。ある日「3センチほどのビニールのようなものが出てきた」という苦情があった。調べたらタマネギ片で、実は苦情の半数はこうした健康に心配のないものだという。
こうした苦情に振り回されて企業はやっていけるのかどうか。
伊藤キャスター「こうなると消費者側の意識も考え直さないといけない部分がありそうですね」に、ゲスト出演した学習院大学の伊藤元重教授は「消費者が本当に神様になっちゃって、よく店で怒鳴っている人がいる。こういうのが許される雰囲気はよくないですよ。消費者も考えないといけない」。
さらに伊藤教授は次のように指摘する。
「一生懸命サービスをやろうとすること自身は日本の良い伝統だと思う。それを本当の方向に向けてほしい。サービスは人と人の触れ合いが非常に重要で、人手不足の中で無駄なサービスをやっていれば企業として成り立たなくなる。本当にお客様が何を求めているかということが分かれば、そこからいろんな、新しい意味のあるサービスが出てくると思います」
人手不足のサービス業界。本当の「サービス」とは何かを企業と共に消費者も考え直す時機にきているのだろう。
文 モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2017年1月25日放送「これって"過剰"? ニッポンのサービスが変わる」)