トランプ大統領の大統領令が止まらない。就任初日の「オバマケアの中止」「TPPからの撤退」に続いて、昨日(2017年1月24日)は「キーストーン・パイプライン建設」。日本時間の今日25日未明には、「メキシコ国境に壁を建設する」大統領令に署名した。
24日署名した「キーストーンパイプライン」は、カナダからテキサスまで数千キロに及ぶ原油輸送の2つのパイプライン計画。オバマ前大統領が、漏れた原油が環境を汚染する、地球温暖化対策に逆行するという理由で、建設を差し止めていたもの。
トランプ大統領は、環境問題より雇用・経済活性化という判断をしたことになると、上智大の前嶋和弘教授はいう。パイプラインの建設は、約2万8000人の雇用創出になる。さらに石油・石炭産業の活性化を図る狙いだという。
大統領は、就任後もツイッターの発信を続けており、昨日は「明日は、国の安全保障上大きな日になる。壁を作るぞ」と書き、その通りに行動したわけだ。
法律と同等の効力持つ「大統領令」
そもそも大統領令とは、議会の承認を経ずに、直接連邦政府や軍に発する行政命令の事で、法律と同等の効力を持つ。ただし、万能ではなくて、議会と見解を異にした場合は、議会の方が優先される。また最高裁も憲法に照らして、ひっくり返すこともありうる。
通常大統領令は、議会の動きを読み、すり合わせをした上で出されるものだが、トランプ大統領は、共和党が多数の議会をバックに、独断専行とも見える。ただ、メキシコとの壁の建設は、膨大な費用を伴う。選挙でいっていたように、「メキシコに払わせる」ことなどできるはずがないのだから、議会から反対を食らう可能性もある。
そんな中、NY昨日の株式市場は、トランプ大統領の景気刺激策への期待から、平均株価は、史上初めて2万ドルの大台を突破、20008ドル98セントと最高値を更新した。
坂口孝則(経営評論家)「これに引っ張られて、日本も2万円を突破するかが注目。アメリカにとってはドル高はあまり良くない。それに、雇用の数字も膨らませているようなので、冷静に見ていく必要がある」
かつてロシア・エリツィン大統領も乱発
国の事情は全く違うが、かつて、ロシアのエリツィン大統領が大統領令を乱発。記者たちが「100本で数えるのをやめた」と言っていたのを思いだす。アメリカだって、支持率(45%)からすれば国民の半数以上が「とんでもない男を選んでしまった」と思っているわけだから、案外早く目が覚めるかもしれない。