アメリカの調査会社ギャラップが昨日(2017年1月24日、現地23日)、トランプ大統領の就任後の支持率を発表した。就任式の20日から22日にかけて行われた調査結果で、45%と、同調査開始以来過去最低だった。しかし当のご本人は意気軒昂。公約通り(?)TPP協定をくずかごに放り込んで見せた。
大統領の支持率では、これまでは第40代のロナルド・レーガン(1981年)、第41代のジョージ・H・W・ブッシュ(1989年)が51%で最も低かったのだが、トランプ氏はさらに低かった。おまけに大規模な反対デモまでが起こり、就任式の参加者も「オバマの半分の100万人」と報じられた。
新任のスパイサー報道官は早速これに「故意に間違った報道をしているメディアがある」と噛み付いて、「海外の視聴者数も含めれば、就任式の参加者は過去最高だった」と言っていた。昨日も記者とやりあう場面があり、メディアとの戦争は、延々と続くことになりそうだ。
当のトランプ大統領は昨日(23日)、テレビカメラの前で、TPPからの離脱を命ずる大統領令に署名して、誇らしげにサインを見せて「今アメリカの労働者にとって『素晴らしいこと』を行った」とうそぶいた。この場合は「アメリカの雇用を守る」が大義名分だ。
TPP(環太平洋経済連携協定)はアメリカが主導して進めてきたもので、昨年2月日米を含む12カ国が合意していた。長期計画で関税を減らし、あるいはゼロにすることで、輸入品は安くなり、輸出も安くできる。しかしこの1年、大統領選挙の候補者が2人ともTPP反対を訴えていたため、進展はなかった。
特にトランプ氏は「TPPはアメリカ人の雇用を外に持っていくものだ」「就任初日に葬る」といっていたのだから、まあ想定の範囲内だが、アメリカの離脱でTPPは発効できず、はしごを外された日本は、当面打つ手がない。
TPPにはまだ「芽」もある
経済学者の飯田泰之が、日本への影響を解説した。まず、オレンジ、ワインなど関税がゼロになるなどがご破算。また輸出で車の関税が下がることによるメリットなど、内閣官房の推計で、GDPのアップ13.6兆円、雇用の伸び約80万人というのが消えたと見る。
飯田は、TPPをアメリカを除いた国々で発効させる手はあるという。トランプ政権が求めてくる「2国間交渉」でも、土台になりうるという。
宮崎哲弥「トランプ氏が2国間を求めるのは、アメリカに有利だから」
加藤浩次「アメリカにとってもデメリット相当ある」
飯田「日本の自動車メーカーはアメリカに大量の雇用を作っている」
宮崎「TPPだって、かなりアメリカに有利にできているんだから」
まあ、いずれ答えは出てくるだろう。アメリカ人は必ず自分で答えを見つける。