福島・原発事故で横浜市に避難していた男子児童が、「○○菌」と呼ばれるなど同級生からいじめを受けていた問題で、岡田優子・横浜市教育長の発言が物議をかもしている。いじめを受けていた児童が同級生から150万円も遊ぶ金を支払わされていたことについて、岡田教育長が「関わった子ともたちはおごってもらったと言っている。いじめとは認定できない」と発言したためだ。
被害児童側の弁護人は発言の即時撤回を求める申入書を市教育委員会に提出した。
尾木直樹氏「いじめを怖がっておごっているならいじめです」
児童の当時の手記には「お金をもってこいと言われたときはすごいいらいらしくやしさがあったけど、ていこうするとまたいじめがはじまるとおもって何もできずこわくてしょうがなかった」と書かれている。
いじめを検証した市の第三者委員会の報告書は、「おごりおごられる行為そのものについては『いじめ』と認定することはできないが、当該児童の行為(おごり)の要因にいじめが存在したことは認められる」とした。ところが、岡田教育長は報告書の前段部分だけを取り上げ、「お金のやり取りをいじめと考えるのは難しい」と説明したという。
教育評論家の尾木直樹氏は「本人がいじめを受けておごっていると思ったら、それがいじめなんです。辛い思いをしている子に寄り添って究明していこうというのが学校の基本的なスタンスのはずですが、それが感じられない」と批判する。
教育委員会の心配は大金の弁済?
菅野朋子(弁護士)「小学生が大金を渡していること自体が非常に異常であって、なぜ子どもがそういうことをしたのかという根本を解決する姿勢が全然ないですよね。いじめがないんだから放っておきましょうという姿勢がみられる」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「(第三者委の)おごりおごられる行為そのものは『いじめ』ではないというのはその通りで、一般論の話ですよ。そのあと当該児童の行為には『いじめ』の存在があったと認めている。なのに、いじめはなかったはおかしいでしょう」
報告書の都合のいいところだけ取り上げ、いじめの存在を否定するのは弁済問題が発生しややこしくなるからか。教育長のこんな姿勢では学校からいじめをなくすのは難しい。