組織的な天下りあっせんの責任を取って、文部科学省の前川喜平事務次官はきょう20日(2017年1月)に辞任、7人が懲戒処分になった。退職した高等教育局の前局長が早稲田大学の教授に再就職し、これを文科省の人事課と複数の幹部によって組織的に進められていた。
高等教育局は大学行政を所管し、入試、学生支援、私立大への補助金、学部の設置認可などを担当する。前局長は2015年8月に文科省を退職し、2か月後に早大教授になった。高等教育政策や著作権制度の講義を受け持っている。
早稲田大の助成金90億円
国家公務員法は利害関係のある企業や大学などに職員が就職活動を行ったり、現職やOBに再就職のあっせんをすることを禁じている。08年には、天下りについて違反行為の調査・監視、改善を求める第三者機関である再就職等監視委員会が設置された。
天下りがなくならないのは持ちつ持たれつの関係があるからだ。同志社大の大田肇教授は「できるだけパイプを作っておいたほうがいいという大学の思惑が動いた」という。文科省は補助金や学部設置、定員などの許認可権を持っているからだ。文科省も天下りポストを確保したい。双方の利害の一致というやつである。2015年度の助成金は、1位が日本大の95億円、2位が早稲田大の90億円。以下、慶応大82億円、東海大64億円、立命館大61億円と続く。
先輩のあっせんすれば次は自分に見返り
司会の加藤浩次「禁じられている天下りのあっせんがあったということですね」
山本由樹(雑誌編集者)「組織的というのが一番の問題でしょうね。自分の力で再就職できる人なんでしょう、いくらでもできると思います」
加藤「天下りが悪いわけじゃないですよね」
菊地幸夫(弁護士)「職業選択の自由があるから。でも、組織的という意味は、再就職をあっせんした人たちもやがて再就職の番が回ってくるから。法はこれを止めようと作られているのですがね」
加藤「それでも続いているというのは、どういうことなんでしょうかね」
菊地「そりゃあ死活問題ですもの。企業にもメリットがある」