「私が社長です」という元谷芙美子さん(69)の笑顔のマークで知られるホテル・チェーン「アパホテル」が揺れている。ホテルの客室に置かれた書物に、「南京大虐殺は嘘」と書かれているのを中国人客が見つけてネットに発信。中国外務省までが反応する騒ぎになったからだ。
発端は中国のSNS「ウエイボー」に載せた中国人女性の書き込み。「アパホテルに滞在中、書物に目を通し衝撃的なものを見た」として、「南京大虐殺は完全に嘘、作り話だ」という内容を伝えた。
南京事件は昭和12年、日中戦争の南京攻略に際し、旧日本軍が一般市民を含む多数の中国人を殺害したとされる事件。中国では歴史上の大事件として、教科書にも載り、毎年慰霊祭も行われている。
ただ、中国側が犠牲者を30万人としているのに対し、日本政府はその数字を不確実としている。また、「虐殺はなかった」と全否定する勢力もある。中国外務省は早速、「一部の勢力が歴史を否定し歪曲しようとしていることを、改めて示した」とコメントした。
CEO元谷外志雄氏が書き、約3万の全客室に
部屋に置いてあった書物は、「理論 近現代史学Ⅱ 本当の日本の歴史」という英語、日本語のテキストで、著者は元谷社長の夫で、アパホテルのCEO元谷外志雄氏(73)。「藤誠志」のペンネームで書かれ、国内155のチェーンの全客室3万2763に置かれているという。
「ウエイボー」の投稿者は、「中国と韓国は、自らの行為から目を背け、嘘の出来事を繰り返し日本のせいにしている」という記述を紹介した上で、「知っていたら、別のホテルに泊まった」とコメント。動画は昨日(18日)夜の時点で、9800万回再生された。
中国のメディアは、「日本の右翼ホテルがボイコットされる」とも伝えた。確認してみると、旅行予約サイトに「アパホテル」と検索すると軒並み「(検索条件に合う)ホテルはありません」と表示され、予約ができない。旅行社も「書物の一件です」という。