「HOGO NAMENNA」ジャンパーの迫力 現物入手したTBSスタッフ

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   「こちらは神奈川県小田原市の生活保護受給者の支援を担当する職員が実際に着ていたジャンパーです」と司会の夏目三久が実物を示す。黒の地で、左胸の黄色いエンブレムにローマ字で「HOGO NAMENNA」(保護 なめんな)と書いてあり、背中には英語で「不正受給者はカスだ」という趣旨の文章がプリントされている。なぜ、こんなジャンパーをつくり、仕事上で着用する必要があったのか。

   ジャンパーに書かれているのはそれだけではない。背中には派手に「SHAT」の文字。「Sは生活、Hは保護、Aは悪を撲滅する、Tはチーム」の頭文字をとったそうだ。細かい英文には「我々は正義だ。正義でなければならない。だから我々は小田原のために働く。不正受給を見つけ、適切な罰を与えるために彼らを追いかけ、不正を罰する」と訴えている。

   作成したのは生活保護受給者を支援する部署の職員。1着4400円、64人が購入し、生活保護受給者の家を調査訪問する際などに着ていたという。市はきのう17日(2017年1月)に記者会見し「不適切な表現があった」と謝罪、着用を全面禁止にして監督する立場の担当幹部を厳重注意した。

「なめんな」は市役所内部へのアピールと説明

   作成のきっかけは10年前に生活保護の窓口で職員が生活保護の受給者に切りつけられた事件があったからだという。担当者が説明する。「(事件後に)職員のモチベーションが低下したため、不正受給を許さないという強いメッセージで連帯感を高揚させようと思ったわけです」。文字の「保護なめんな」は「市役所内で生活保護の係には行きたくないという感覚があったので、我々をなめんなよ、みんな頑張っているんだということを他の部の職員たちに訴えたかったと聞いています」

   10年も続いていたことについては、上司は「内容までは気がつかなかった」といい、実際に着ていた職員も「プリントの文字はデザインと思い、意味は意識していなかった。冬は防寒具として着用していました」といっている。いずれにせよ、受給者の気持ちに対する配慮はまるでなかったようだ。

   夏目「不正受給は大きな問題がありますが、本当に困っている人への心理的抑圧になってなかったか懸念がありますね」

   牧嶋博子(TBS解説室長)「生活保護の不正受給は2014年度で約4万3000件、174億円7903万円に上っていますが、保護を受けるべき人が申請をためらうことがなかったかどうか検証してほしですね」

一ツ石

文   一ツ石| 似顔絵 池田マコト
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