東京都の豊洲新市場で地下水の9回目の検査の結果、環境基準を大幅に上回るベンゼン、ヒ素、青酸カリに含まれるシアンなどの有害物質が検出された。これまでの検査ではほとんど基準値以下だったのが、なぜ急に異なる数値が出たのか。番組では検査結果のナゾと今後の対応を追った。
検出されたのは、施設内に設けられた201か所の観測用井戸の内72カ所。このうちベンゼンが35カ所、ヒ素が20カ所、シアンは39カ所で検出された。
過去7回目までの検査では基準値以下にとどまっていたが、昨年11月に公表された8回目の検査では青果棟内の3カ所で、基準値の1.1~1.9倍のベンゼンとヒ素が初めて検出された。
「基準値79倍のベンゼンは危険」と専門家
それが今回は最大79倍のベンゼンと初めてシアンが検出されたのも青果棟で、他にも水産卸売場棟や水産中卸売場棟でもまんべんなく検出されている。
番組にゲスト出演した東京工業大学生命理工学院の小林雄一教授は「ベンゼンの環境基準値は一生飲み続けた時のリスクが10万人に一人の割で白血病を発症させるということなので、基準値の79倍は1300人に一人の割で発症する確率になり危険と考えている」と指摘する。
では、なぜ急に環境基準を大幅に上回る汚染物質が顕在化したのか? 移転推進派で築地市場協会の伊藤裕康会長は「これまでちゃんと検査をやってきたのか」と疑問を呈しており、移転反対派では「(検査結果を)改ざんしただろうと疑われても仕方がない」という声すら出ている。