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「過労自殺」免罪できない電通の体質

   最後に電通を揺るがせ、社長を辞任にまで追い込んだ「過労自殺」について週刊新潮が、24歳の女性の自殺の理由はほかにもあったのではないかと、報じていることに触れておこう。

   要は、彼女のSNSに残されたメッセージから推測するに、付き合っている彼氏がいて、その男からイブの夜、彼女は別れを宣告されてしまったというのである。過重な残業や心ない上司のパワハラ、その上に、好きだった男が離れていってしまったことが重なり、死を選んでしまったのではないかというのである。

   人が死を選ぶ理由は一つだけではないのだろう。だからといって電通が彼女に課した過労労働の責任が軽くなるわけではない。

   こうした悩みを持って働いている社員を、どうしたら救えるのか。取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは......というような非人間的な「鬼十則」を後生大事にし、社員個々の人間性に目を向けてこなかった電通という社の体質が、ひとりの女性を追い込んでしまったことは間違いないのだから。

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