「脳こうそくの治療でこれまでの定説を覆す大変な発見がありました」。こう言って司会の羽鳥慎一が、兵庫医科大先端医学研究所のグループが発見した『ISC細胞』の研究成果を伝えた。
脳こうそくは、血管が詰まって狭くなり血液が送られず脳の神経細胞が死んでしまう病気。一命を取りとめても脳の機能が失われてマヒや言語障害などの後遺症に苦しめられる。
同研究所の松山知弘教授らのグループが、そうした後遺症に苦しむ患者を無くそうと研究を続けていた中で、死んだはずの神経細胞の周辺に生き残って脳を修復する細胞が存在していることを2009年にマウスの実験で発見し、ISC細胞、虚血誘導性多能性幹細胞と名付けたという。
死んだ組織の中に修復する細胞生き残る
松山教授は「脳梗塞に陥った脳組織の中には生きている細胞はないというのが常識なんです。しかし、全部死んでしまった組織の中に実は根性で生き残って脳を修復するという強い意志を持っているけなげな細胞がいるんです。その意味では定説が覆っています」という。
体の様々な細胞をつくれる多様性幹細胞ではIPS細胞(人口多様性幹細胞)が知られているが、IPS細胞ががん化しやすい欠点があるのに対し、ISC細胞は体内で自然に生まれる細胞のためがん化しにくいとみられている。
取材したテレビ朝日ディレクターの玉川徹は「この細胞の仕組みをさらに解明すれば、自分の体を再生するイモリのように心臓や骨髄の細胞を再生させる可能性もある」と説明したが、他の新聞情報(5日付神戸新聞)では、発見されたISC細胞の多様性はIPS細胞に比べ低いと考えられているという。