世界的歌手のブリトニー・スピアーズ(35)が「死んだ」と、所属会社の公式ツイッターが告げた。当然大騒ぎになったが、当のスピアーズさんは、「生きてます」と写真を載せた。実はハッカー集団による意味不明のデマだった。捜査当局も「実害がない」と捜査の優先順位は低いのだと。一体どうなってる?
ツイッターが流れたのは、米標準時間の26日(2016年12月)13時20分。ソニー・ミュー ジック・グローバルの公式ツイッターだった。「ブリトニー・スピアーズが事故で亡くなりました」
ブリトニーといえば、言わずと知れた世界のトップ。1998年のデビュー以来、 CD売り上げ1億枚。グラミー賞始め80以上もの賞を受賞。YouTubeの再生回数は30億回。ネットの検索回数ではギネス記録という超超大物だ。
ツイッターはあっという間に世界に拡散した。悼む声はネットに溢れ、ノーベル賞のボブ・ディランさんまでが「安らかに」というメッセージを寄せた。
ブリトニー本人も変顔写真つきで「生きてます」
ところがこれ、とんでもないデマだった。メディアが一斉に取材を始めると、マネジャーが、「本人は生きている」と。ブリトニー本人も個人ツイッターに変顔写真を載せて、「生きてます」と。
ソニーも「生きてることがわかった」とツイート、ハッキング集団に乗っ取られたことなどを説明した。乗っ取られたとされる最初のツイートの最後には「#OueMine」というサインがあり、これは有名なハッカー集団の名前だった。
この「Our Mine」は、人数も所在地も全く不明で、ハッキングの痕跡も残さず様々なサイトへ侵入して、安全性に警告。技術力を誇示したりしている集団だ。そのウェブサイト(らしいもの)を見ると、自分たちがやったハッキングの成果が並んでいる。スタンフォード大学、マーク・ザッカーバーグなどに続いて、「ポケモンGOのサーバーがダウン」なんてのもある。
アメリカのテレビ局がこれに取材したところ(取材できるのも驚き)、レコード会社のサイトにハッキングし、デマを書き込んだことを認めた。またボブ・ディランのツイートもそうだった。なんと手の込んだことを。
ウェブサイトには「悪気はありません。ただ、あなたのアカウントとネットワークの安全とプライバシーを大切にしています」「システムの脆弱な部分を示すことで知られるエリート・ハッカー集団だ」とある。
ITジャーナリストの井上トシユキさんは、ハッカーの目的は1)うでだめし2) スパイ3)嫌がらせ、の3つくらいだったが、今回のは、「自分たちの名前を売るためだったのではないか」という。
「放火魔が消火器を売り歩いているような」
遼河はるひ(女優)「悪気がない、というのが意味がわからない」
加藤浩次「これで商売になるものなのか?」
飯田泰之(経済学者)「安全対策を提供します、というような集団もあるみたいなので、放火魔が消火器を売り歩いているような」
加藤「また破れるから」
飯田「昨年あたりから日本でも、芸能人とか大学とかやられてますが、ここまで堂々と自分たちがやったというのはない」
アメリカの捜査当局としても、Our Mineの技術力が高くて証拠をつかみにくいのと、「深刻な実害が出ていない」ということで、捜査には動きにくいというのが実情らしい。
加藤「ここまでやっていても?」
宮崎哲弥(評論家)「SNSのニュースは鵜呑みにしないこと。それしかない」