将棋62歳差の対決、最年少プロ・藤井聡太四段が加藤一二三・九段を破る

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   一昨日(2016年12月24日)行われた将棋の竜王戦6組1回戦で、最年少14歳の藤井聡太四段と最年長76歳の加藤一二三・九段が対戦、藤井四段が勝った。14歳2か月(9月)はプロ昇格の最年少記録だが、実はこれまでの記録は加藤九段の14歳7か月。これを62年ぶりに破ったばかりだった。敗れた加藤九段は、「大局観がある」と若きエースを祝福した。

   加藤九段は、1954年のプロデビュー。以来62年、名人や王将などのタイトルを獲得してきたが、お茶目なキャラクターで、「ひふみん」の愛称でバラエティー番組などに出演。4月のイベントでは、小田和正のラブソング「ラブ・ストーリーは突然に」を熱唱して、会場をわかせた。

   そんないわば「レジェンド」が、62歳も年の離れた新人との対戦となった。名古屋大学附属中2年生。将棋界最高峰の7大タイトル戦の一つ「竜王戦」。竜王への挑戦権をかけて173人が戦うトーナメントだ。

   学生服姿で現れた藤井四段は、集中すると、盤面に顔がつきそうなほど前のめりになる。集中している時の癖なのだとか。対する加藤九段は、チーズを取り出してムシャムシャ。

10時間の対局、最年少勝利記録も達成

   そうして対局19時間、日は落ちて、加藤九段の動きが止まり、藤井四段が攻め立てる。王手、また王手。そして藤井四段の110手目、加藤9段が「参りました」と一声。藤井四段が「ありがとうございました」と深々と頭を下げた。開始から10時間43分、プロデビュー戦初勝利だ。14歳5か月は、最年少勝利記録となった。

   加藤九段は、「大変、素晴らしい才能の持ち主だと、初めて戦って思いましたね」と話した。藤井四段は「これからももっともっと精進していかなければいけない」と殊勝に語る。

熟考し選んだメニューは「(東京の)みそ煮込みうどん」

   一夜明けて、瀬戸市の自宅に藤井四段を尋ねると、「東京ではよく眠れました。緊張しすぎないようにとは思ってました」という。落ち着いた対戦態度だったが、食事のメニューは対戦中に決める。加藤九段が熟考中、2分18秒もかけて選んだのが「みそ煮込みうどん」だった。

   「みそ煮込み」と言えば名古屋名物。「(東京では)どれくらい味が違うのか気になりまして」という。「だいぶ違うことがわかりました。東京はあっさりめで普通の麺で、美味しかったです」。なんたる余裕!

   加藤浩次「62歳の歳の差、孫でもおかしくない」

   橋本五郎「すごいなと思う。加藤九段が『大局観がある』といっていた。これは羽生さんもよく言っていたこと。これを62歳上の人に言わせるというのじゃすごい」

   取材した中山美香「中学生が10時間集中力を持続するのもすごい」

   竜王への挑戦権を得るには、あと11人を破らないといけない。そのあと渡辺明・竜王と対戦となる。

   山本由樹「キャリアに62年の差があっても、盤面に向かっては対等なんですね。その自由さと厳しさ。ロマンだなぁ」

   ちなみに最年少タイトルの記録は、屋敷伸之九段(棋聖戦・当時五段)18歳6カ月、羽生善治・三冠(竜王戦・六段)19歳2カ月、渡辺明・竜王(竜王戦・当時六段)20歳8カ月、となっている。藤井四段が、どこへ食い込んでくるか、楽しみだ。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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