プーチン置き土産の罠
口車といえば、プーチンの思わせぶりによろめいた安倍首相がプーチンを訪日させたが、メディアは「日ロ首脳会談 あまりに大きな隔たり」(朝日新聞)「進展見られず」(読売新聞)「『引き分け』より後退か」(産経新聞)と酷評ばかりである。
週刊新潮で北大名誉教授の木村汎氏もこういっている。
「日本にとって99%敗北。元島民の北方領土への自由訪問が広がりそうなことだけは1%分評価できます」
週刊新潮によれば、唯一の成果といわれる「北方4島に日本企業も進出できるようになる、共同経済活動案」にも乗り越えるには厳しすぎる障壁があるとしている。
現在北方4島には約1万7000人のロシア人が居住しているというが、ロシア極東事情に詳しいジャーナリストはこう話す。
「ウラジオストックから運ばれてくる麻薬が蔓延しています。ロシア本土より監視の目が緩いことから格好の取引場所になっており、密売人たちに重宝がられているためです。また、択捉島にあるロシア軍基地から横流しされた武器を市民が所有していて、それを使っての犯罪も横行。道路事情も悪く、悲惨な交通事故が地元紙の紙面をよく飾っています。警察などの役人たちの間では、横領や賄賂が常習化しています」
こうした治安の悪さとともに、日ロ双方が主権を訴えている北方4島では、もし日本人が罪を犯した場合、どちらの法律で裁くのかなどの難しさもある。
プーチンの好きな柔道には「柔よく剛を制す」という言葉があるが、今回は剛の前に軟弱な安倍があえなく投げ飛ばされたということであろう。