ノロウイルスが猛威を振るい始め10年ぶりの大流行の恐れが高まっている。今シーズンのノロウイルスの遺伝子に変異が起き、過去に罹患した大人でも免疫が効かず感染するリスクが高いのが猛威の原因という。
番組に東京医科大学兼任教授の中村明子医師がゲスト出演し、今回のノロウイルスについて実態と対策を追った。
まずは猛威の実態から。今が旬の宮城県産の養殖カキが出荷中止になった。19日に養殖海域11か所を検査したところ、10カ所の養殖カキからノロウイルスが検出され22日から25日まで出荷が中止された。中村教授によると、「体内から出たノロウイルスが生活排水に交じって海に流出、カキが取り込んだ可能性が高い」という。
年末恒例のつつき立ての餅を楽しむ『餅つき大会』も相次いで中止する動きが広がっている。
銀座の高級レストランでも感染
一方、東京・銀座にある高級ブランドのブルガリ東京レストラン、ミシュラン一つ星の『イル・リストランテ』。11日開かれたパーティーの参加者138人中49人が症状を訴え、うち12人からノロウイルスが検出された。さらに調理従事者4人、サービススタッフ6人の感染が確認された。
この高級レストランは、「ランチ5500円~、ディナー18000円~(税、サービス料別)」と超高め、これでノロウイルスをお釣りにもらってはたまったものではないが、羽鳥キャスター「~」の印に話が飛んで「これ怖いですよね~」。
ところが、本当に怖いにはやはりノロウイルス。中村教授によると、今シーズンのノロウイルスは全体の7割が『GII.2』というタイプ。普通このタイプは体内に入ると免疫力で殺されてしまうが、今シーズンは違っている。『GII.2』 の遺伝子が変異していて、「過去の感染した経験のある人や免疫力のある大人でも感染しやすい」。
しかもワクチンや特効薬なし。症状は嘔吐や下痢で、「3日ほどで治まる人もいるが、1カ月もノロウイルスを持ち続ける人もいる」という。
せっけんでもみ洗いが一番、下痢止め飲むな
では、予防にはどんな対策があるのか?中村教授は「アルコール消毒はノロウイルスに関しては効き目がない。塩素系消毒液(家庭で使う漂白剤)は効くが手が荒れるので洗うわけにはいかない」と断言。「外出先から帰ってきたらせっけんを使って、もみ洗い30秒間、流水で15秒間洗うしかない」という。
また感染したら「下痢止めを飲まずに、十分水分補給しながらノロウイルスをどんどん体外に出すことが大事だ」と話している。
文 モンブラン