ソラミミスト安斎肇とみうらじゅんの「オレは変態だ!」普通じゃいられない衝動

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   特別な才能もなく、二流大学でぼやっとしている平凡な男(前野健太)は、偶然入ることになったロック研究会でバンド活動を契機にミュージシャンとしての道を歩むことになった。やがて結婚し、妻(白石茉莉奈)と生まれた息子と家庭を築くが、男は学生時代から続いている薫子(月船さらら)との愛人関係を断てずにいた。地方のライブ公演の仕事が入り、旅行気分で薫子を連れて行くが、会場には妻がいた。

   みうらじゅん企画・原作の青春ドラマで、監督は「ソラミミスト」としても知られるイラストレーターの安斎肇が、男の本能と不倫とは何かという難題をエロスとロック調を交えて問う。R18指定。

  • (C)松竹ブロードキャスティング
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笑われても金がなくてもとにかく「やる」

   「変態」という言葉の意味を調べてみると、「ふつう」の状態ではないことと記されている。どれだけ変態だろうとも、人間には生活というものがある。ロックをやってようが、安定した給与が目の前をチラつけば揺らぐ。夢や野心といった内面的成功願望と、安定や道徳といった社会的成功の狭間に「変態」は存在し、「揺れている」状態こそが変態であり、それは「ふつう」ではないのだとこの映画は語っており、悩める人間たち=変態を全面肯定している。

   人間が物事を始めるとき、必ず衝突は起きる。酒を飲んで笑い飛ばせればいいが、浮世の戯れだと片付けられないこともある。ロックンロールと声高に叫んでも、同じことだ。やるかやらないかの「やる」決断をした人間に悩みは尽きない。この時代、病むに病まれぬ気持を抱え、笑われても、金がなくても、とにかく「やる」人間こそを変態と名付けている。これが女性関係になると、また解釈が変わっていく。

   世の中には自分のことを常人と言える人間はどれだけいるのだろうか。自分のことを変態と豪語できる人間はどれだけいるのだろうか。テーマはなかなかに深い。

丸輪太郎

おススメ度☆☆☆

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