したたかなプーチン流交渉術にどう対応?
ところが訪日直前の読売新聞など一部メディアのインタビューでプーチン大統領は「(日ロ間に)領土問題はまったくない。日本が欧米と共に経済制裁を続けたままでロシアとの関係正常化を進められるのか」と述べた。
この期に及んでなぜ後退する発言をするのかと言いたいところだが、そこがもとKGB(旧ソ連国家保安委員会)の職員として鍛えたしたたかさなのだろう。
山口敬之によると、11月上旬に行われた谷内正太郎・国家安全保障局長とパトルシェフ・ロシア安全保障会議書記との交渉で、首脳会談の進め方についてロシア側が信頼構築のための経済協力先行を主張したのに対し、日本側は経済協力と北方領土問題を同時に進めるよう主張して激突、決裂してしまった。
山口は「先のインタビューでプーチンが伝えたかったのは一つだけ。経済協力で信頼関係を築いてから領土問題の話し合いに入る。プーチン大統領はここをもう一回強調して見せる必要があったということだ」という。