<「連続テレビ小説 べっぴんさん」>(NHK) 順風満帆、とんとん拍子の展開に「なんか、なんかなあ」 成功した主婦の起業話、時代にぴったりか

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   子供服「ファミリア」の創業者をモデルにしたお話だそうだが、お金持ちのお嬢様で子どもの頃からセレブ生活。戦争中、苦労したといっても、庶民の苦労とは比べ物にならず。知り合いの靴屋さんの店先を借りて友人たちと子供服を売り始めたら、今度は商品が大手百貨店の社長夫人の目に留まり、大手百貨店への10日間催事出店を依頼され、当初、客足が伸びなかったが後半、街にポスターを貼ったら、押すな押すなの大盛況&百貨店の最高売上げを記録、正式に出店が決まるという、とんとん拍子な人生に、「なんか、なんかなあ」と首を傾げながら見ている。

ヒロイン役・芳根京子の脇をベテラン勢固める

   ヒロイン・坂東すみれを演じるのは、芳根京子(よしね きょうこ)。昨年、TBSドラマ「表参道高校合唱部!」の主演に抜擢された、期待の若手女優だ。すみれの姉・ゆりを蓮佛美沙子、その夫・野上潔に高良健吾、すみれの夫・坂東紀夫に永山絢斗。ほかに、父を生瀬勝久、坂東家の執事・忠さんを曾我廼家文童、女中頭・喜代さんを宮田圭子とベテラン勢が脇を固める。

   すみれとともにベビーと子供服の店キアリスを立ち上げる仲間には、村田君枝(土村芳)、小澤良子(百田夏菜子)、小野明美(谷村美月)。そして、君枝の夫・村田昭一(平岡祐太)、良子の夫・小澤勝二(田中要次)......という布陣。

何かと手を差し伸べてくれる「いい人」登場

   当初、彼女たちに店の一部を貸して、いつの間にか乗っ取られ状態だった靴屋「あさや」の店主・麻田(市村正親)や、キアリスを出店させた大急百貨店大島社長(伊武雅刀)など、なにかと手を差し伸べてくれる人たちがいるのも、このドラマの特徴。たとえそれが事実としても、「なんか、なんかなあ」と思ってしまうのだ。

ヒロイン口ぐせ「なんか、なんかなあ」は魔法の言葉

   ちなみに、この「なんか、なんかなあ」はすみれの口ぐせ。普段、自分の意見をあまり言わないが、この「なんか、なんかなあ」が出ると、すべてが覆されるという魔法の言葉だ。「あまちゃん」の「じぇじぇじぇ」、「あさが来た」の「びっくりぽん!」、「とと姉ちゃん」の「どうしたもんじゃろのう」と、このところのヒロインには必ず口癖があるのが特徴だが、なかなか「じぇじぇじぇ」を超えるヒット作は生まれない。ま、縁起物のようなものだろうか。

   ナレーションは若くして亡くなったすみれの母・はなを演じていた菅野美穂が担当。この必要以上にゆっくりな喋り方と、菅野特有の鼻づまりの声は正直苦手。順風満帆なすみれの人生と反比例し、ドラマ全体がずっと曇天と言う感じで重苦しいのは、このナレーションのせいかも!? まったく進まないかと思うと、突然、すっ飛ばしたようになるストーリーを書いているのは渡辺千穂。「名前をなくした女神」「サキ」「ファーストクラス」など、女性のいざこざなど、女性同士の人間関係の面倒臭さを描いた悪意に満ち満ちたドラマには定評があるが、「べっぴんさん」のようなホワイトドラマはあまり向いていないかも。

好調な視聴率、老け役どう演じる?女性陣

   とはいえ、すっかり根付いた朝ドラの視聴習慣のおかげで、視聴率は好調。波乱に満ちた激動の人生というのではないが、普通の主婦が特技を活かして起業し成功を収める話は、今の国が推奨する<すべての女性が輝く時代>にぴったりかもしれない。

   気になるのは、この先、芳根京子を初め、キアリスの仲間たちがどう老けるのか。それぞれ、子持ちになった今でも、まだ女子高生にしか見えないのに、メイクと衣装だけでどこまで老けるのか、見ものだ。(月~土 あさ8時)

くろうさぎ

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