夫の死後に姑など夫の親族と付き合いを避け、縁を断ち切りたいと「姻族関係終了届」(絶縁届)を役所に提出する人が増えているという。ゲスト出演した高草木陽光(はるみ)・夫婦問題カウンセラーを交え背景などを探った。
「姻族関係終了届」は、家族制度が廃止された後もいざこざが絶えなかったことから設けられ、知らない人も多い。届け出で姻戚関係を断つことから「死後離婚」とも呼ばれているという。
メディアなどを通じて知られるようになって届出数は年々増えており、10年前の2006年に1854件だったのが、2015年には2787件となっている。高草木カウンセラーのもとに絶縁したいと相談に来る件数は「それまでは年に1~2件だったのが、今年に入って30件。メディアで取り上げられたことから増えた」と話す。
「義理の親と同じ墓はイヤ」「介護したくない」
主な理由は「義理の両親と一緒の墓に入りたくない」「義理の両親の介護はしたくない」「金銭的な面倒を見たくない」で、高草木カウンセラーによると、「同居している義理の親とどっちが出ていくかでもめたケースもあった。年齢は40代~50代の女性が多い」という。
青木理(元共同通信記者)「男女平等と言いますが、夫が妻の両親を介護するとは想定されないのに対し、妻が夫の両親を介護するのは当たり前という感覚がある。女性の置かれている矛盾の一つの表れかもしれません」。
法的には届出なくても同じ
ただし、菅野朋子弁護士は「法的には(届出なくても)義理の両親の扶養義務はないし、お墓も入らなければならないと決まっているわけではない。夫の親戚の借金を肩代わりする義務もないんです」。
これに玉川徹(テレビ朝日ディレクター)が「となると、あえて縁を切るって何なんだろうとなる」と疑問を呈したが、そこは曖昧さが濃厚に残る日本。あえて関係を断ち切りスッキリしたいのだろう。こんなところにも人情が希薄になった表れが...では断ち切られた側の親族反応は? 高草木カウンセラーによると「ピンとこない方が多い」という。