滋賀県近江八幡市にある織田信長ゆかりの観光地で地元自治体と寺が対立している。国指定の特別史跡「安土城跡」を有する摠見寺には2011年に放送された大河ドラマ「江~女たちの戦国~」や歴女(レキジョ)ブームで全国から観光客が急増。市は混雑時の渋滞緩和などのために車を誘導したり駐車場を管理したりするために人件費がかかると、無料だった市営駐車場を有料化した。
道路を挟んで市営駐車場は有料、寺の駐車場は無料
これによって入山料700円と駐車料金510円を支払うこととなった観光客からの要望に応える形で、安土城一帯を管理する摠見寺は3年前、無料の駐車場をつくった。これによって、駐車料金1日510円の市営駐車場と、無料の摠見寺駐車場が道路を挟んで共存することになった。当然、観光客は無料の駐車場を利用する。市側は看板で誘導するなどの『営業努力』を行ったが、赤字に転落。年間560万円の維持費が賄えなくなってしまった。
そこで近江八幡市は3月に、近隣で唯一のトイレが設置されているガイダンス施設のトイレ利用料100円を徴収(有料駐車場利用者は無料)する条例案を提出したが、市議会の反発で審議取り下げ。12月には新たに、市営駐車場を無料とする代わりにガイダンス施設利用料として200円を徴収する条例案を提出する予定だという。
この条例案について近江八幡市の冨士谷英正市長は、「この地区には土産物など観光客がお金を落とすところが何もない。市民への還元がない施設のために税金を使うのはいかがなものか」とコメントする。
渋滞ないし、2つも必要か?
作家の吉永みち子が「有料にしなければ(管理する)人はいらないのだから、無料にすれば人件費もかからない」とズバリ本質を突いた発言。現地取材を行った中谷隆宏レポーターは「トイレットペーパーなど維持管理費がかかる」と市側の意見を代弁するも、レギュラーコメンテーターの玉川徹(テレビ朝日ディレクター)が「公衆トイレはだいたい無料でしょう」と、これを否定。
スポーツコメンテーターの長島一茂も「そもそも混雑緩和のために作ったんだろうけど、映像を見る限り渋滞が起きているようには見えない」。ついには玉川が「市営駐車場は閉めちゃえばいいんじゃないの。寺の駐車場もあるんだし」と一刀両断。
信長ゆかりの地では、天下統一どころか駐車場の統一もできていないようだ。