スーパーマーケットにとって「お客様は神様」だ。並んでいる食材たちも消費者=人間を「神」と思い、手に取られ、カートに入れられて外の世界に行くことを夢見ている。
ソーセージのフランクと恋人であるパンのブレンダは、合体してホットドッグになりたいと思っている。ある日、フランクはブレンダは同じのカートに入れられるが、トラブルが起き店に取り残されてしまう。しかし、購入され念願叶って店の外に出た食材たちに待っていたのは残酷な現実だった。
子どもは見ちゃダメ!R15指定
キャラクターの愛くるしいルックス、「トイ・ストーリー」のような擬人化によって繰り広げられるお話。ピクサー作品の流れに沿って作られているが、決してお子様向けアニメ映画ではない。中身はお下劣ジョーク連発で、R15指定なのだ。これから関係を深めていこう男女のカップルが観るものではないので要注意。主役はソーセージ。その彼女は割れ目の入ったパン。それだけで、あるイメージが浮かんでくるだろう。
脚本は良く練られていて、舞台がスーパーマーケットというのも巧い。多種多様な人種が買い物に来るアメリカのスーパーマーケットは、世界中の食材が売られている。そこでは食材たちにも偏見やいじめ、上下関係があって、人間世界の生き写しになっている。
待っていたのは残酷な仕打ち!立ち上がったスーパーの食材たち
家庭に持ち帰られた食材は皮をむかれ、かじられ、フライパンで焼かれる。このまま『死』を待つのか。彼らは立ちあがった。
なぜだろう。「外の世界」の残酷さを知ったある食材の変わり果てた姿に、「ディア・ハンター」でロシアンルーレットの恐怖の甘美に狂ったクリストファー・ウォーケン演じるニックの姿が重なる。お下劣アニメになぜか瞼が熱くなる。あらゆるものを食らって生きる人間の性みたいなものも見えてくる。それでも、無性にホットドッグを食べたくなる。映画館を出た後、不思議な爽快感に包まれた。
丸輪太郎
おススメ度 ☆☆☆☆