ロバート・キャンベル(東京大教授)「世代の広がり、継続が課題」
 慶応大の小熊英二教授(歴史社会学)は「21世紀型の社会運動ですね。人々が持っている政治への不満を表現する触媒になり、小さなグループでも効果を示すことができました」と分析し、きちんとした検証が必要だという。
 日本大の先崎彰容教授(近代日本思想)は「問題を掘り下げるきっかけになりました。ただ、ワンフレーズをラジカルに切り取った手法から、二項対立の批判が出て、第三極が出なかった」と残念がる。
 東京大のロバート・キャンベル教授は、「デモを見ていて、既存のイデオロギーに取り込まれた面がありました。一方、実名で語る若者が現れて、突破口を作っていった。日本としては新しい、珍しいことだったが、継続につながらなかった。日本は大人社会との接点が少ないから」と話す。
SEALDsの現場は従来の政党や労組主導のデモとは一味も二味も違った。ただ、ラップまがいの絶叫や同じフレーズの繰り返し、拡声器と太鼓は、デジャビュ感は拭えなかった。大勢の高齢の男女が互いに語り合うでもなく、道路で木陰で公園の植え込みでテレビカメラに追われる若者の姿をじっと見ていた姿が目に残る。
警察はデモを歩かせなかった。封じ込めだ。SEALDsにも街に出て歩くアイデアはあったかどうか。そういうノウハウは既存の組織でないと出てこない。飛び出した素人と置いていかれた玄人と。キャンベル教授の言う「接点」とはそういうことかもしれない。
*NHKクローズアップ現代+(2016年11月10日放送「声を上げる若者たち~『格差』『不安』・・・ いま世界で何が~」)