「泣く子も黙る」といわれる大手広告代理店の電通にきのう7日(2016年11月)、強制捜査が入った。違法な長時間労働が日常化していたと見られている。去年12月(2015年)に女子寮から飛び降り自殺した高橋まつりさん(当時24歳)はツイッターに「1日20時間とか会社にいると、もはや何のために生きてるのか分からなくなって笑けてくる」と書き込み、遺族らによると時間外労働は1か月に約105時間、厚生労働省の「過労死ライン」の80時間を超えていた。
1991年には入社2年目の男性社員が過労で自殺、2013年にも男性社員(当時30)が過労が原因で病死し、労災と認められた。
ウソ報告で超過勤務ごまかし
元社員が勤務実態について語る。「ピークのときは、朝5時半から始発で会社に到着し、メールや新聞に広告が載っているかどうかチェックしていると、気が付いたらお昼も過ぎている。いろいろな打ち合わせに参加して、うちに帰るのは夜1~2時ぐらいでしたね」
実際の労働時間だと超過勤務になるので、休憩時間を多くするなどウソの報告をしていたという。
湯山玲子(著述家)「日本人の職業観と美徳にかかわる問題だという気がします。これを変えていかないと、美徳をとるか、過労死をとるか、そんな話になりますね」
文
一ツ石| 似顔絵 池田マコト