<何者>
したたかな菅田将暉&不器用な佐藤健「シュウカツ」は自分試しの舞台だった!俺は何者なのか?

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   「シューカツエイガ」「SNSって怖いよね」「いるいる、ああいうヤツ」で片づけるにはもったいない。佐藤健演じる拓人とそのルームメイトの光太郎(菅田将暉)は就活を控えた大学生で、たまたま同じマンションにクラスメイトの瑞月(有村架純)の友人・里香(二階堂ふみ)が住んでいることを知り、協力して就活に挑もうと意気投合する。

   同じだと思っていた仲間の中でも、受かるヤツ、落ちるヤツがいる。わかったような物言いをする奴、いけ好かない奴が転ぶのを見ると、どこかでほっとする。実力が伝わらなかったと自分に言い聞かせても、心の奥ではそんな風には割り切れない。

   テストの点やかけっこのタイムのように、基準が明確じゃないから、受かれば人格のすべてを肯定されたような気持ちになり、落ちればその逆の気持ちになる。混乱し、「お祈り」される度に摩耗する心。それでも、一度走り出したら止まることは許されず、大きな波にもまれながら、自分に問う。俺は何者なのか。

  • <p>(C)2016映画「何者」製作委員会 <br />
(C)2012 朝井リョウ/新潮社</p>

    (C)2016映画「何者」製作委員会
    (C)2012 朝井リョウ/新潮社

  • <p>(C)2016映画「何者」製作委員会 <br />
(C)2012 朝井リョウ/新潮社</p>

主役級の人気俳優並べたなかなかの見応え

   全員が主役級の人気若手俳優が、誰一人浮くことなくぴたりとはまっているのが心地よい。佐藤健がしっかりあか抜けてない大学生に見える。有村架純が4年間でぐっと可愛くなる、芋っぽかったクラスメートっぷりに見える。

   そして、何と言っても、菅田将暉には「ずるい!」の一言。お調子者だけど、何かに打ち込むときは超真剣。とにかく明るいのけれど、空気が読めない訳じゃない。平気で人に頭を下げられて、格好悪いところも、飛び上がるくらい嬉しがっているところも、さらりと見せることができる。でもって、ちゃらちゃらした見た目に似合わず、ちゃんと芯のある女の子を選んで大事にできる度量がある。影のある役がはまるイメージだったけれど、陽の菅田将暉もいいじゃん!

   一方で、佐藤健は人から嗤われることに敏感になりすぎて、格好悪く自分をさらけ出すことができない。クリエイター面した学生、ほとんど集客力のない素人劇団の座長など、多くの「すごい自分を演出したがっている」奴らを憎み、「イタい」と断じる。ただ、その「イタさ」へのアレルギーは一種の同族嫌悪にも見える。

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