大阪・中央区の名物「アメリカ村」にある6店舗をおととい26日(2016年10月)、大阪府警が捜索して従業員ら13人を逮捕した。容疑は「商標法違反」で、パロディー商品が「限度を超えた」ということらしい。パロディー商品は「笑い」そのものだ。摘発自体が異例だという。
摘発された店の経営者は「ナイジェリアの男性」(近所の人の話)とか言われていてよく分からないが、置いてあった商品は「イブ・サンローラン」「ナイキ」「アディダス」といった有名ブランドのパロディー商品だ。Tシャツは3000円程度でよく売れていたという。店長も「違法だとは思わなかった。悪気はなかった」という。
NIKEは「NAMAIKI」、ユニクロは「SILOQLO」、アディダスが「damedes」
どんなパロディー商品が並んでいたのか。NIKEは「NAMAIKI」、ユニクロは「SILOQLO」、スタバは「STARWARS COFFEE」(ロゴの人物がダースベーダー)、アディダスが「damedes(大麻のデザイン)」、ニューバランスが「nyan balance(猫の絵)」などとなっていて、ロゴマークを巧みにアレンジしている。
客たちの着ているものも、アディダスかと思ったら「アディオス」だったりで、「面白い」「安かったらいい」と抵抗感はない。岸本哲也リポーターが訪ねた時は、店は押収されなかったものを並べてもう営業を再開していた。
司会の小倉智昭「面白いんですけどね」
岸本がTシャツのサンプルを並べて見せた。カルバン・クラインのもじり。チャンピオンならぬ「ニャンピオン」、プロバスケのシカゴ・ブルズをもじった「シカゴ・ビーフス」。これらはみな日本では違法になるのだという。商標法、著作権法、不正競争防止法違反だ。オリジナルの権利者が静観していればいいが、訴えたら即違反となるのだという。訴えるかどうかの境目は、「おそらく、客を取られるかどうか」と岸本は言う。
例として出したのが、「白い恋人」と吉本興業が出した「面白い恋人」。関西方面でだけの発売などを条件に和解した。かつてパロディー裁判を闘った人がいた。スイスの高級時計「フランク・ミューラー」(数十万円)をもじった「フランク三浦」(数千円)を作って訴えられた「(株)ディンクス」の下部良貴さんだ。文字が日本語、値段が違いすぎるから間違えようがないと裁判は勝った。
メーカー側が被害届?13人逮捕
文化庁によると、現行の著作権法にはパロディーを規定した条文はない。2012年に検討をしたが、結論は「あいまいなままでいい」とした。創作意欲に関わるからだそうだ。
小倉「ニヤニヤしながら身につけたり、『ここが違うんだよ』と説明する喜びもある。『あいまいなままでいい』というのもいいね」
中瀬ゆかり(新潮社出版部長)「これはあかんやろ、というのもあるし、線引きできないですよ」
山本一郎(作家)「センスいいねと受けてくれればいいですけどね」
笠井信輔ニュースデスク「13人逮捕されているのですが、警察の発表見ていると、どこかのメーカーが訴えているようです」
岸本「6月に正規の販売店が情報提供したというのがきっかけです」
小倉「パロディー商品見て、おかしいねというくらいならいいが、カリカリ頭にくるようだとどうなんだとなるんだろう。こういうものなくしちゃったら切ない」
そう、社会の成熟度のバロメーターかもしれない。