羽生「その一局だけに賭ける。普通に生きていたらありえない人生」
黒川「やっぱり『無頼』なんですね。いま、こんな生き方をできる棋士は多分、いません」
亡くなる半年前、羽生との最後の戦いに望んだ。優位に立って得意の終盤を迎えていたが、病の影響なのか、ちょっとウッカリしたかのような一手を放ってしまい、まさかの逆転負けを喫した。羽生はその時を振り返ってこう語った。
「その一局とか、1回に懸ける。その次があるかどうかわからないという状況は、その時代でも現代でも、普通に生きていたらまずあり得ないですよ。そういう人の感じ方や考え方みたいなものは、胸を打つものがあるのではないでしょうか」