アニメ「ドラえもん」の憎まれ役、スネ夫の声を務めていた声優の肝付兼太さんが先週木曜日(2016年10月20日)、肺炎で亡くなっていたことがわかった。80歳だった。肝付さんの役回りは広く、スネ夫以外にも「あー、あの声」と誰でも思い当たる150もの声を演じていた。
肝付さんのスネ夫は、実に26年に及ぶ。いじめっ子ジャイアンのご機嫌をとりながら、のび太をいじめる重要なキャラクター。15年6月、「スネ夫は世渡り上手。嫌な奴と思われたくないので、ジャイアンに乗っかってのび太をいじめる組み合わせが凄く面白い」と語っていた。
声から来るのだろう。個性的なキャラが多かった。「おそ松くん」では、「イヤミ」、「元祖天才バカボン」では「おまわりさん」、映画にもなった「銀河鉄道999」では、「透明人間の車掌」。
「銀河鉄道999」で主人公の星野鉄郎役を務めた野沢雅子さんは、1か月前に一緒に仕事をしたという。肝付さんは肺を患っており、病院から車椅子で現場に現れて周囲を驚かせた。
野沢さんは、「番組のセリフを全部録り終えたんですよ。『よかったじゃない。ばっちりだよ、もう』って言ったら、『そう?』って。『まだまだ大丈夫。もっと長生きしてね』と言ったら、『うん、頑張るよ』と。今日訃報を聞いて、涙が止まらなかった」と声を詰まらせた。
主人公の動きに重要なアクセントをつける役回りばかり
野沢さんによると、肝付さんは、面倒見がよかった。「車掌さんも面倒見がいいでしょう。悪いことは悪いと。鉄郎にもメーテルにも言う人。全くその通りの性格でした、肝付さんって」と、アニメのキャラと区別がつかない。
「ドラえもん」ののび太役、小原乃梨子さんは、「ユニークな役作りと一緒に、スタッフにもキャストにも細かな心遣いを忘れず、いつも笑いの中心にいた」と言う。
ユニークな役は多かった。「ドカベン」では「殿馬一人」、「アルプスの少女ハイジ」の「セバスチャン」、「キテレツ大百科」では「苅野勉三」、「それいけ!アンパンマン」の「ホラーマン」......どれも、主人公の動きに重要なアクセントをつける役回りだった。
15年6月の言葉も実は、「ドラえもん」でジャイアン役だった、たてかべ和也さんが82歳で亡くなったのを受けて語ったものだった。「ショックですよね。考えてみりゃ、僕もすぐ追いかけるんだと思うんですが、50年付き合った親友ですからね。55年かなあ」と。告別式でも「ジャイアン、ジャイアンのくせになぜ先に逝っちゃうんだよ」とスネ夫の声で呼びかけていた。
「声優さんというのは、日本の強み」
司会の小倉智昭が改めて、「本当に様々なヒット作でやってたんですね」と言う。
笠井信輔「私が子どもの頃から、今の世代のお子さんたちまで、『あ、あれね』というキャラクターを務めていた」
小倉「中江さんも結構反応してましたね」
中江有里「あ、あれもそうだったんだ、というのが。『ハイジ』のセバスチャンもそうだったんだと、今回初めて知った。子どもの頃からそれぞれのキャラで聞いていたから、結びついていなかった」
夏野剛「声優さんというのは、日本の強みだな。声優さんの方も結構役にはまっていて、これも日本の技だなと」
笠井「スネ夫は、セリフが印象的だった。大人が言いそうなことをしゃべる。アドリブもあった。『のび太のくせに』というのがそれ」
小倉「声優さんもみんな80歳だけど、声の仕事の人って若いよね」
梅津弥英子アナ「2005年に新しい声優さんに生まれ変わっているけど」
小倉「みんなの耳には残っている。ある意味羨ましい仕事です」