中国トップに「アメリカとは別れた。軍事的にも経済的も」と発言し、米国をいらだたせているフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、あす25日(2016年10月)に来日する。
麻薬犯罪者を裁判なしで射殺を奨励するなど、トンデモ大統領だが、親日家で子煩悩なのだという。「あさチャン!」は大統領選の直前のインタビュー映像を紹介した。
素顔はカラオケ好きの親日家「日本の親切さ、寛大さに感謝」
インタビューを受けたのは東京でだった。それもカラオケバー。歌うのが好きで、フィリピンでは誰でも知っているラブソングを歌い、「家族とクリスマスを過ごすため日本を訪れた。電車(山手線)にも乗ったんだ。寒いのが本当に苦手で、仕事や娘のためじゃなければ行きたくなかったな」なんてしゃべっている。
大統領選の直前にフィリピンのメディアに女性スキャンダルが暴露され、自分の裸の写真が出回ったことについては、「写真は加工されているんだ。俺のタトゥーはこうなっているんだから」と左腕シャツをたくし上げ、入れ墨まで見せる。軽いというか、ノリがいい。
このときは長野まで出かけて、娘に雪景色を見せたりした。案内役を務めた日本フィリピンボランティア協会の網代正孝最高顧問は「プライベートでは普通のお父さん。娘さんが本当にかわいいんです。奥さんの方を向くよりも娘さんの方ばかり気にしていた」
歓迎会では「アメリカよりも中国よりも綺麗な場所として日本を選んできました。私の心の中でとくに日本のみなさんの親切さ、寛大さに感謝しています」とあいさつした。どうも、訪問先でヨウショする傾向があるらしい。中国での「アメリカ嫌い発言」もリップサービスのつもりなのかもしれない。
大統領に就任する前まで市長をしていたダバオが故郷で、ダバオでは戦前、約2万人の日本人がマニア麻の栽培に従事した。市長時代に日本語で「人類はみな家族」と刻んだ『友好の碑』を建立し、「日本人はダバオの経済発展に貢献してくれた」と語る。
日本政府は日米・日比・米比関係の板挟み
アメリカに盾突き、中国に歩み寄り、「反米親中」を露わにするドゥテルテ大統領の来日に日本政府は困惑気味だ。とくに、中国が軍事戦略上最も欲しがるフィリピンの南シナ海スカボロー礁の行方については日本にも大きな影響がある。コメンテーターの龍崎孝(流通経済大教授)はこう見る。
「これまで日本とフィリピンの関係が安定していたのは、フィリピンがアメリカと非常に仲が良く、日米関係の延長線でとらえ、外交的駆け引きをする必要がなかったからです。でも、今回の(大統領の)一連の発言で根底が崩れた。日本政府としては中国の海洋進出について、原則的に(大統領が)どう考えているのか質さなければいけない立場になりました」
アメリカ政府も大統領の本音を知りたいところだろう。間に立つ日本政府の役回りは重そうだ。