青森県黒石市の伝統の祭り「黒石よされ」で、楽しげに踊る少女の写真がコンテストに入賞した。ところが、少女はいじめを苦に遺書を残して自殺していた。市はあわてて写真の入賞を取り消したが、少女の家族は「バカにされたような気がした」と割り切れない思いを語った。
伝統祭り「黒石よされ」笑顔で踊る中学2年生
写真の少女は、浴衣姿でリンゴとこけしの飾り前掛け、赤い鉢巻き、赤い傘を持って笑っている。中学2年生の葛西りまさん(当時13)だった。りまさんは全国大会にも出場する踊り手だった。撮影者が写真コンテストに応募して、今月12日(2016年10月)、最優秀賞に当たる「黒石市長賞」に内定した。
しかし、りまさんは写真に撮られた10日後、鉄道自殺していた。残された携帯電話には、「遺書」として「突然でごめんなさい。ストレスでもう生きていけそうにないです」という書き出しの長い文章があった。「いじめてきたやつら、自分でわかると思います。もう、二度といじめたりしないでください」といじめを示唆していた。
「賞が内定した日が、ちょうど娘の四十九日だったんです」と父親の葛西剛さん(38)はいう。13日に連絡があり、撮影者からも写真が送られてきた。「また娘と会えたような気がして、この笑顔に。涙が止まりませんでした」「笑顔を見てもらいたいと思い、『こちらこそよろしく』とお願いしました。娘の笑顔に後押しされたような」と話す。
父親「違う賞与えるといわれた。バカにされた気分です」
ところが、主催者は同じ13日に入賞内定取り消しを決定。翌14日に父親に伝えた。「こういう状況の子が被写体では、この賞にふさわしくないといわれた」という。実行委員会は「写っている子が亡くなっていると知っていれば、遺族に配慮して選ばなかった」と説明している
父親は「違う賞を与えるので、それで勘弁してくれませんかといわれた。何かバカにされたような、賞はやるから黙っていろというように聞こえました」と話し、この写真の笑顔が「いじめが招く悲惨さ」を訴える一助になればと、経緯を公表することにしたという。
司会の小倉智昭「いじめの中でこんな笑顔で踊ってる。いいお祭りなんですよ。なんで市長賞がダメなのか。おかしくないですか」
深澤真紀(コラムニスト)「文部科学省はいじめをなくすためには、いじめがあることを前提と考えなければならないとしています。いじめの認知数が多いほどいいという考えで、この写真はとてもいい。今からでも市長賞に復活してもらいたいですよ」
笠井信輔ニュースデスク「市長が出すんだから、市長が決めればできますよね」