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「石原さとみさんはウチでは使えません」出版界一厳しい新潮社校閲部長

   石原さとみ主演のドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」(日本テレビ系)の視聴率がいいと週刊新潮が報じている。初回の視聴率は12・9%だったという。視聴者に馴染みの薄い校閲がテーマでこの視聴率は、たしかにスゴイ。

   石原はファッション誌の編集者を希望して出版社に入ったところ、校閲に回されてしまう。それが気に入らないのか、編集者を「このタコ!」と怒鳴り飛ばしたりするそうだが、出版社イチといわれる新潮社の校閲部長・飯島秀一氏は、石原についてこういっている。

   <「校閲は、原稿の最初の1文字から最後の1文字まで同じテンションで読むことが何より大事です。石原さんが演じるキャラクターは落ち着きに欠けるし、編集者になりたいと公言しているので、うちの校閲職では採らないと思います」>

   私のいた講談社でも、最近は知らないが、校閲職を編集や営業とは別に採っていた。編集者から校閲に行く人間もいたが、ほとんどは10年以上のベテランであった。校閲の仕事は、原稿と見比べて間違いを探すだけではなく、人名、年代、地名などあらゆる箇所が間違っていないかチェックし、そのために辞書や図書館で調べるだけではなく、飯島氏のように、小説で描写される風景を確認するために、「地図を広げれば、等高線から『この位置だと対象物が見えない』と判断」することもできなくてはいけない。

   編集者のほとんどは会社を離れると売る物はないが、校閲だけは引く手あまたである。現在、大手出版社でも自前で校閲を持っているところは少なくなってきている。ましてや中小出版社では皆無であろう。どうするのか。校閲ばかりを集めたプロダクションがある。そこへ発注するのだ。

   私の知っている校閲プロダクションは、毎年売り上げを伸ばし、近々上場するといっているが、それができると思うほど絶好調である。最近、大阪にも進出したが、大阪はそうしたプロダクションがほとんどないから、入れ食い状態だという。

   私も校閲をやっていれば、定年後に飲み代に困ることはなかったのにと、後悔している。

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