小池百合子知事は都議会一般質問で、豊洲市場移転をめぐる責任者の処分を行うことを明らかにした。「歴代の市場長については、退職者も含め責任を明確にしていく。その他の幹部職員についても、個人の特定などの行政監察手続きを進め、退職者を含めて懲戒処分などしかるべき対応を取っていく」という。
「盛り土+高床式」が2か月後には地下空間
では、誰が主要建物の地下に空間をつくったのか。都議会民進党は5日(2016年10月)、新たな資料を明らかにした。豊洲市場の設計を担当した日建設計が都に提案した技術提案書で、「盛り土工事と(建物の)建築工事を一体的に検討することにより、無駄な工事を省略する」とあり、「建築部分の盛り土不要」と明記してあった。
この提案書が都に提出されたのは10年11月で、都の基本設計発注仕様書には「モニタリング空間」が記載されているが、「地下空間」の文字はなく、この時点では盛り土の上にモニタリング空間を作る高床式の可能性もあった。ところが、年を越した11年1月になると「盛り土不要」という日建設計の提案書になっていた。
石原元都知事「公開ヒヤリング」拒否
都の市場問題プロジェクトチームのメンバーの森山高至(建築エコノミスト)は「少なくとも明確に『盛り土なしでいきましょう』と提案され、それでいこうと判断した都の担当者がいるはずです。都の担当者が深く関与しているということだと思います」
当時の豊洲市場の責任者は岡田至元市場長で知事は石原慎太郎氏だった。岡田元市場長は「工事の決済はしたが、盛り土を実施しないことは知らなかった」と他人事のように言い、石原元知事は「調査に全面協力」を約束していたが、「公開の場でヒヤリング」は拒否した。
司会の夏目三久は「盛り土不要について、十分に議論がされなかったということなんでしょうね」と呆れたが、都側の担当者がだれだったかは日建設計を調べればわかるはずだ。