研究費不足に悩む学者たち・・・「日本学術会議」も封印解除
大学側には国立大では研究費のもとになる交付金の減少、私立大では少子化で授業料収入の減少が響き、研究費獲得が困難になっているという事情があるのだが、それだけでもなさそうである。「日本学術会議」が4月(2016年)に開いた総会で、大西隆会長の発言が波紋を広げた。「自衛隊を国民が容認しているということなので、その目的に叶う基礎的な研究開発を大学の研究者が行うことは許容されるべきではないか」
学術会議が声明を出し封印してきた「軍事目的のための科学研究は行わない」というダブーを破ることになるわけで、発言をめぐって大揺れに揺れた。学術会議は6月に「安全保障と学術に関する検討委員会」を立ち上げ、声明を見直すべきかどうか議論を重ねている。
「防衛省が大学の研究に期待をかけるのはどうしてですか」と久保田祐佳キャスターは、軍事と科学の関わりを研究している東京工業高等専門学校の川村豊教授に聞いた。
「現在の防衛技術が大きな変革期にきたのだと思います。人工知能や無人機がデュアルユースの形で防衛技術にも使えるようになるなど、防衛省も民生用の基礎研究がやがては防衛装備に使えるのではないかという観点から、熱い視線を注いでいるのでしょう」
研究費捻出に頭を悩ます大学研究者と防衛能力の向上を目指す防衛省の思惑が一致したのだろう。
文
モンブラン