移転後の東京・築地市場をオリンピック用の駐車場にするという話が突然出てきた。東京オリンピック・パラリンピック組織委の森喜朗会長が言い出したもので、おととい26日(2016年9月)のBS日テレ「深層NEWS」でしゃべった。
「(築地市場)跡地は駐車場に使う予定なんです。乗用車とバスを含めて約5000台を停められるところがいるんです。その場所は、東京都のどこを探してもありません」
たしかに、築地は国立競技場、選手村、各競技会場のどこからもアクセスが良く、駐車スペースのほか、運転手の休憩所、トイレなども作れる余裕がある。しかし、都に聞いてみると、「築地市場を駐車場にとは言っていない。都有地から検討中で、築地は候補の1つ」という。大会組織委の広報も「あくまで会長の発言。組織委としてはまだ候補地の検討段階です」と説明している。
実力者・ボスが何か言うと既成事実化する『伏魔殿』
司会の羽鳥慎一「まだ決定はしてないということですよね」
浜田敬子(「アエラ」前編集長)「豊洲への移転も不透明になっているこの時期に、『駐車場にしないと』ということ自体、神経を疑いますね。『もう決まったことだから』『スケジュールが・・・』ということで豊洲移転も進められてきた。言ったらそれが既成事実として一人歩きをするという形で五輪は決まってきている印象です」
羽鳥「情報の出処もたらい回しというか。豊洲の問題も言った言わない、意思疎通もできてないとか、都庁ってそういうところなのかと、またこれを聞いて思ってしまいますね」
弁護士で中大法科大学院の野村修也教授は「短期間ですが、東京都参与という仕事をしていたことがあるのですが、とにかく組織が大きい。公営企業を含めて16万8000人もいるんです。民間で最大のトヨタ自動車でも7万人。まあ、事務職員は1万8000人とスリムではあるが、それでもJR東海の全職員と同じくらい。組織がなかなか動かないという面がありますね」
羽鳥「でも、大事なことを扱っている」
野村「だからルールは決まっているんです。権限も組織化されて、チェック機能も働くようにはなっています。でも、どうも聖域のようなものができていて、そこが決めたら独断専行でいってしまうようなところがあります。これを改革してほしいですよ」
浜田「小池さんはそこへメスを入れようとしている。どこまでいけるかですね」
都政改革本部は五輪施設の建設中止含む見直しを提言
羽鳥が築地の模型を前に、「これ23ヘクタール。4000台の乗用車と1000台のバスを停めるには、計算で13ヘクタールくらいになります。スペースは十分ですが、築地の建物は壊さないといけない」
五輪施設に関しては、都政改革本部が水泳会場など東京湾の3施設に建設中止を含む見直しを提言する意向だと伝えられた。いずれも整備費が高く、代替施設利用が可能ということらしい。
浜田「リオだってかなり仮設でやっていましたよね。五輪は施設を造ることじゃない」
新国立競技場もそうだったが、「それ五輪だ」「親方日の丸だ」と建設から設計、デザインまでが目いっぱい予算を膨らませた結果が招いた混乱だった。もう一つ冷や水をぶっかけないといけない。小池知事のお手並み拝見の都議会がきょうから始まる。