埼玉県朝霞市の少女(15)を誘拐し、2年間も監禁した未成年者誘拐、監禁致傷に問われている大学生・寺内樺風被告(24)の初公判が27日(2016年9月)にさいたま地裁であり、少女の供述調書から2年間の逃げられないで過ごした絶望の日々が明らかになった。
寺内は誘拐については認めたが、監禁致傷については「初めの数日から数週間は監視していたことを認めますが、それ以降の2年間はアルバイトに出かけるなど外出していたので、監視していた認識はない」と否認した。
少女供述調書「刑務所に入れて一生出さないで」
少女の供述調書によると、寺内は誘拐後に臓器売買に関する音声を聞かせ、「両親は借金があり、あなたの臓器を売ろうと考えている。そこで私が保護する」と話し洗脳し始めた。「(寺内から)『(両親に)捨てられた』と言われ、『帰る場所がない』という言葉をいっぱい書かされた。家族を信じるべきか、犯人を信じるべきか頭がグルグルしました」と少女は語っている。洗脳のために朝顔のタネから作ったドラッグを飲まされたという。
2014年4月に脱出する機会があり少女は試みている。「1度は犯人が長い時間外出したことがあり、逃げたいと思い玄関を開けたら開いたので外へ出た。公園に行き、小さな男の子を連れた女の人に『ちょっといいですか』と声かけると、『忙しいから無理』と言われ、それ以上声をかけられませんでした」と供述している。いったん部屋に戻ったが、同じ日に再び脱出を試みる。しかし、「おばあちゃんに声をかけたが、『無理です』と言われショックを受け絶望しました」という。
2年経った今年3月、部屋にあったパソコンで両親が自分を捜していることを知って脱出し、母親に電話して保護された。その時のことを「親のインタビューや記事を読み涙が出てきた。両親の『味方だよ。ずっと待っているよ』を見て、受け入れてくれる。大丈夫だと思った」という。
寺内に対しては、「犯人は刑務所から出てこられない無期懲役にしてほしいと思う」と話している。