豊洲新市場には建物の地下以外にも空間があることがわかった。水産仲卸売場棟、水産卸売場棟、管理施設棟、青果棟のそれぞれ建物に隣接する「マシンハッチ」といわれる地下への開口部で、3メートル×6メートルの金属製の蓋で覆ってある。
都の説明では、新たに地下に汚染が発生した時に対応するため、重機を下す場所だという。地下の詳細は不明だが、そこから建物下の空間に入っていくということは、地下空間の大気はマシンハッチを通して外へ漏れてくる。
水産仲卸棟地下の空気中のベンゼン量は、地下空間入り口で1立方メートル当たり0.0007ミリグラム(基準値の約2割)、水面から2メートルのところで0.0025ミリグラム(基準値の約8割)だった。08年に専門家会議が目標とした0.0013ミリグラムは超えているが、平田健正座長はなぜか「安心です」と言う。しかし、横浜国立大の浦野紘平名誉教授は「現在の大気中のベンゼン濃度の一番高いくらいの値だ」という。
ベンゼン大気の真上で魚加工
加工パッケージ棟のマシンハッチは建物の中にあった。民進党の都議が視察で下から見上げたら光が見えたという。隙間があるということで、地下空間の大気は建物の中にも漏れてくる。加工パッケージ棟は市場で競り落とした魚を捌くところ。その床下から地下水のモワモワ大気が上ってくる。
小口海産棟には地下空間はないと言われていたが、設計図ではここにもマシンハッチがあった。都職員は「わからない」というが、建築ジャーナリストの森山高至さんは「一部に盛り土がないことは明らか」という。
住田裕子(弁護士)「図面との違いも、事務方だけが知らないで、現場の人はみんな知っていた。どなたが仕切っていたんでしょうね」
小池知事は「無責任体制」と言ってる。決定経緯はいずれ明らかになるだろうが、トカゲのしっぽ切りの心配はある。