7年間、毎日150円の切符で近鉄を乗り倒して、いたるところで駅員にクレームをつけていた59歳の男が「キセル」などの容疑で逮捕された。「クレームおじさん」として有名で、「150円で1日過ごせる。いろんな駅でクレームを言うのが楽しかった」と話している。
電子計算機使用詐欺などで逮捕された無職、下村聖一(59)は、大阪の近鉄線矢田駅から最短距離の150円の切符を買って、70キロ離れた三重県名張駅まで行き、名張駅では降りずに引き返して、矢田駅の隣の針中野駅で降りていた。乗り越し運賃1990円になる。
「金を使わずに暇をつぶせた」不正乗車40万円
「金を使わずに暇をつぶせた」とうそぶいている。とにかく毎日することがない。そこで、7年間ほぼ毎日、同じ手口で近鉄に乗って暇つぶしをしていた。不正乗車の金額は約40万円になる。
しかも、そこらじゅうで騒ぎを起こしていた。「ゴミを拾わない乗務員がいる」「駅員の勤務態度が悪い」「窓が汚い」と、なんにでも文句をつけた。時には1時間以上も『楽しんで』いたという。知人は「文句つけ屋」と言い、近所でもクレーマーおじさんで知られていた。
大阪ではクレーマーのモンスター化がいわれている。視聴者が提供した実例ビデオがあった。「みんな謝らんかい」「おのれの顔忘れへんぞ、こら!」「こいつがごちゃごちゃと訳のわからんこと言うわけや」とはじめは乗り継ぎの説明の悪さを言っていたのが、「俺らどん底で生きてるような奴は、お前ら気持ちわからへんやろうが」「人をゴミみたいに扱いやがって」となっていった。下村も「クレームを言っているうちに、それが楽しくなった」と言っているそうだ。
司会の羽鳥慎一「ストレス溜まっているのかな」
反論しにくい駅員や店員相手にストレス解消
下村の逮捕容疑の「電子計算機使用詐欺」というのがいわゆる「キセル=無賃乗車」に当たるが、他に鉄道営業法違反というのがある。これは「有効な乗車券を持たずに列車に乗車した」こと。
住田裕子「クレームもビデオに撮っていたりすれば、威力業務妨害罪も成立するかもしれないですね」
羽鳥「ホームでクレームつけられた車掌が、高架から飛び降りた事件がありましたね」
21日(2016年9月)に東大阪市の東花園駅で、事故のため列車が遅れたのを乗客に責められた26歳の車掌が、「もう嫌や」と制服を脱いで線路に飛び降り、さらに高架下まで飛び降りて重傷を負った。
住田「いまは消費者は神様だみたいなことで、個人的なストレスや不満をぶつける対象にされているんでしょうね。相談員とか苦情係の人は、『感情労働』というらしいけど、組織として守らないといけないですよ」
大阪がとくにクレームが多いのかどうか。ちょっと知りたいところだ。