本来単純だった話が、時間を追うごとに複雑になっていくのは、当事者たちが自分に火の粉が降りかかるのを怖れたり、責任逃れをするからである。豊洲市場移転問題がその典型であろう。東京都議会のドンといわれ、都政を我が物顔に牛耳ってきた内田茂都議の「悪行」につては、週刊文春をはじめさまざまな週刊誌が書き立ててきた。だが、舛添要一前都知事をはるかに超える額の税金を湯水のように使って、毎晩のように料亭、高級レストランで散財し、その上、新銀行東京なるバカなものを立ち上げ1400億円もの巨費をドブに投げ捨てた「巨悪」石原慎太郎元都知事については、メディアは忘れ去ったかのように見えた。
ようやく、豊洲の盛り土問題について、石原の証言が二転三転していくことで、この男のデタラメな都政運営が明らかになろうとしているのは、私は大歓迎である。週刊文春は石原が都知事になった1999年当時、都が推し進めてきた臨海副都心開発が失敗に終わり累積5000億円超もの赤字を抱えていたため、<「黒字の羽田沖埋立事業会計などと統合させ、赤字を見えにくくした。そして、築地市場を豊洲に移転させて、超一等地の市場跡地を民間に高値で売却し、赤字削減と臨海再開発の一挙両得を狙ったのです」(元都庁幹部)>
目をつけた東京ガスの跡地は当初交渉が難航していたが、石原の腹心の浜渦副知事を交渉担当として、東京のきれいな土地と危険物質で汚染されている東ガスの土地を等価交換するなど、不可解な契約までして、手に入れるのである。
<「通常、土壌が汚染されたような土地を買う場合、価格を割り引くのが当たり前。が、都は、売買価格を算出する際、財産価格審議会に『現在は汚染物質は存在していない』として通常価格で計算させている。なぜこのような経緯になったのか。都は一連の交渉過程を公開すべきです」(この問題に詳しいルポライターの永尾俊彦氏=週刊新潮)>
ベンゼン、シアンが環境基準の何千倍、何百倍も検出されている土地のため、土壌汚染対策を徹底的にやると当時の市場長がいっていたのに、石原は「時間がかかる。カネもかかる。そこまでやる必要はない」といい出し、会見でコンクリ箱を作れば安くて早いといったのだ。
石原がいい出しっぺだったのに、はじめは関知しないと逃れようとしたが、数々の事実や都庁内からの批判が出てきて観念したのか、9月21日に文書を発表した。そこには冒頭、自分の知事在任中のことで大きな混乱と懸念を生じさせたことを詫びている。この件は専門家の意見を聞いて進めたもので、「私が土壌汚染を無視して予算と完成時期だけにこだわり強引に今回問題になっている構造にさせたといった指摘がなされているようですが、そのような事実は断じてありません」と型通りに否定している。
誰も知事一人でやったといってはいない。最大の権力者が自分の腹心と、息のかかった都庁の人間にやらせたのであろう。石原は「都は伏魔殿だ」といったが、その伏魔殿を牛耳り、やりたい放題やったのが石原と内田である。
週刊新潮は盛り土が全体に行われていなかったと騒ぐが、専門家は盛り土の上に建物を建てると「豆腐の上に家を建てるようなもの」(一級建築士の田岡照良氏)で、「地下部分に空間を作らず盛り土の上に直接建物を作る場合と、コンクリートの『地下ピット』を作った今回の場合。両者を比較すると後者の方が衛生的かつ安全であると言えます」(藤井聡京大大学院工学研究科教授)
だが、都は08年に環境調査をしているが、「ベンゼンは土壌の1ヵ所から環境基準値の4万3000倍の濃度が検出されるなど、地上で35ヵ所、地下水では561ヵ所で基準値超え」(永尾氏)。シアンも1か所から基準の860倍の高濃度で検出されるなど、地上で90か所、地下水では966か所で基準値を上回っていた。
そうした結果を受けて、都は土壌対策に858億円を費やしてきたと週刊新潮は書いているが、それで完全に危険が取り払われたのか、要再調査である。
ネズミの大群が潜む築地、土壌の安全性が完全に確保されていない豊洲。どちらも都民の食を脅かす存在だが、小池都知事はどういう判断を下すのか。まずは9月28日13時から TOKYO MXで生中継(東京都議会のインターネットでも中継)される、小池都知事の所信表明演説に注目である。
大バカ高畑裕太としたたか被害熟女!「藪の中」それぞれの言い分
元俳優の高畑裕太の『強姦』事件だが、前回詳報したので詳しくは書かない。今週の週刊文春でこれまで出なかった「事実」を少し紹介しておこう。被害女性は44歳で読者モデル歴があるという。どうでもいいことだが、橋本マナミ似だと書かれていたが、週刊文春は「あびる優」似だという。
裕太はあまり飲んでいなかったといわれるが、週刊文春の調べでは「周囲のスタッフも酔うなかでひとりのスタッフが転倒」したというから、かなり飲んでいたようだ。ホテルへひとりで戻った裕太は、フロントの彼女に声をかけ、「これから部屋に来ませんか」とかなりしつこく誘っている。歯ブラシを持ってきてくれといったのに来てくれないため、もう1度フロントに戻り、<部屋に来てほしいんです!」といい、「粘りに根負けしたのか、吉田さん(被害者の名前・仮名=筆者注)はフロントを出た>(週刊文春)
エレベーターが閉まると裕太は彼女に唇を押し付けるが、激しい抵抗感は感じなかったと、裕太は警察で話しているという。部屋での主張はかなり違っている。彼女は「高畑は手足を押さえつける等の暴行を加え、『黙れ、言うことを聞け』と脅迫された」と証言。
裕太は「少なくとも女性が泣き叫び助けを呼ぶような事はありませんでした。押さえつけたり、脅迫もしていない。ベッドに倒れ込んだとき、頬に手を当てられ、『生理中だからダメ』と言われたが、拒否している感じではないと思いました」と供述しているそうだ。
彼女は裕太の部屋を出て約1時間後の午前3時30分、彼女の知人の男性から「女性がレイプされた」という110番が入る。この男は私の彼氏だと、彼女は従業員たちに話している。一部には60代の暴力団関係者と書いていたが、それは別人であると週刊文春は書いている。フライデーのことだ。
<「現在44歳のX氏は、東京に本部を構える暴力団に所属していた元組長です。これまで強盗や拉致監禁容疑で二度の逮捕歴があります」(捜査関係者)>
よっぽどこっちの方がコワイやないか。裕太サイドと示談交渉していたのはこの人物だそうだ。群馬県警は裕太側に、相手はヤクザだから気をつけてくれといっていたという。週刊文春によれば示談金は破格の1500万円だそうである。
さまざまな報道を総合すると、売り出し中の若手俳優が、ロケの旅先で酒に酔い、目をつけていたホテルのフロントにいた熟女を強引に部屋に引きずり込んだ。彼女の彼氏は話を聞いて激怒し、「オレの彼女にしたことは許せん。訴えて、示談金だけでもせしめてやろう」と考えたのではないか。旅先での気の緩みと、自分は有名人だと錯覚したために、芸能界からも追い払われることになったこの男は、「現在も茫然自失の状態が続き、埼玉県の心療専門病院に入院しているそうです」(裕太の知人)
一夜の代償としては高すぎたとは思うが、20年かけても俳優として戻ってくるぐらいの覚悟で、これからを生きていくべきであろう。
加山雄三「吝嗇」が招いたゴーストライター反乱と「ぼくの妹」骨肉の争い
週刊文春が加山雄三に「ゴーストライターがいた」と報じている。それも初期の頃の「恋は紅いバラ(Dedicated)」や「ブーメラン・ベイビー」「マイ・ジプシー・ダンス」などの英語の歌詞を書いたというのだ。
きっかけは1本の留守番電話に吹き込まれた以下のような加山の音声であった。「僕の名前と君の名前では値打ちが違うからね。(報酬が支払われたら)お金を送るよう努力するよ。それでいいかい? だから君はこれまでと同じように僕のゴーストライターでいてくれないといけないんだ」(原文は英語)
この相手は、加山の妹と結婚、離婚した元米軍厚木基地にいたマイケル・ルノー氏。ルノー氏は60年代に加山のために作った11曲と、15年に発売された「I simple Say」の作詞のおカネを合わせて払ってくれと加山に要求していたのだが、いつまでも払われないので、米国と日本で訴訟を起こす準備を始めていると、加山側に通告したそうである。
さあ加山はどう答えるのか。加山は「I simple Say」についてはルノー氏の作詞だと認めたが、それだけでは足りないので、自分で足して書いたから「僕の作詞」だという。これはやや苦しいいい訳だが、昔の曲については、その当時親しかったルノー氏に、英語の表現がおかしくないかを修正してもらっただけだというのだが、これは頷ける。
どうやらここまで話がこじれたのには、加山の吝嗇があるらしい。ルノー氏と加山の妹は70年代に離婚しているのだが、「加山さん自身も、亮子さん(妹=筆者注)とは、お金をめぐるトラブルが原因で十数年前に絶縁していて、彼女は以前住んでいた港区内の高級マンションを出て、現在はお子さん二人と困窮されていると聞きます」(当時を知る人物)
ゴーストライター問題よりも、このほうが加山にとっては大きなイメージダウンになると思うが。加山には「ぼくの妹に」といういい曲があるが、あの歌を歌う加山の笑顔の裏に骨肉の争いがあるとすれば、素直に聞きことができなくなるからだ。