「北方4島」最後のチャンス!12月プーチン来日で「返還・平和条約・経済協力」セットで交渉

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   今月2日(2016年9月)に行われた日ロ首脳会談で、プーチン大統領の今年(2016年)12月の訪日が決まり、ロシアへの経済協力を突破口に北方領土問題を含む平和条約交渉への道筋がわずかながら見えてきた。停滞していた日ロ関係が動き出したのは、4か月前にロシア南部ソチで行われた首脳会談だった。ここで日本側は2つの提案をした。

   一つは「ロシアへの新しいアプローチ」で、日本が主張してきた4島の法的・歴史的議論はいったん脇に置き、4島の将来像などをゼロベースで議論を行うというものだ。もう一つの「8項目の経済協力プラン」は、ロシアのエネルギー開発や産業振興などに日本が積極的に協力するというものだった。具体的には、最先端の医療技術を提供してロシア人の健康寿命を延ばす、老朽化した港湾施設の近代化に日本が協力するなどだ。

   これらの案をまとめたのは官房副長官だった世耕弘成・現経済産業相だ。「具体的なしっかりしたプロジェクトとして、スケジュール、投資額、その成果をはっきりわかるように作ってくれ」というのが安倍首相の指示だったという。

したたかロシア「経済支援でまず具体的成果見せろ」

   ロシアはこれをどう受け止めたのか。6月になると、まるで試すかのように、ロシアは共同プロジェクトの実行を求めてきた。その数は約55項目に上った。ロシアのウリュカエフ経済発展相は「まずは結果を出すことが大切です。信頼関係を作り、お互いに利益があるとわかれば、平和条約交渉を成立させる条件ももっとよくなります」となかなかしたたかだ。

   しかし、プーチン大統領は日本の提案は見せかけで、領土問題が動かない限り経済協力には踏み込まないのではないかという不信が強いことも分かってきた。ウラジオストクでの日ロ首脳会談が迫っていた8月末には、日本の本気度を探るためにプーチン大統領の信任あつい大手製薬会社の会長が訪日している。

   ウラジオストクでの日ロ首脳会談で、安倍首相は世耕経産相にロシア経済分野協力担当大臣を兼務させたと伝え、日本の本気度を念押しした。不信感が薄らいだのか、安倍・プーチンの2人だけの会談では、北方領土問題の具体論に踏み込み、平和条約締結の際の日ロ両国民の権利保障についても意見を交わしたという。

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