早くも小池都知事は「女帝」(週刊新潮)になりたまひしか。今のところ、週刊文春は小池支持で、都議会のドン・内田茂氏や五輪組織委員会の森喜朗会長を批判、週刊新潮のほうはやや小池批判の論調が強いように見える。
先週までは、内田氏が彼と関係の深い企業に対して、都の事業への『便宜』をはかっている疑惑や、豊洲移転でもそうした疑惑があると週刊文春は追及していたが、今週は本丸・森会長が「親密企業へ五輪の事業を続々受注させている」と巻頭特集をやっている。
森会長には親しい企業がいくつかあるが、「最も近いのが大成です。親しい順に大成、清水建設、地元石川の真柄建設でしょう」(かつて森事務所で資金集めにあたっていた関係者)。森氏の後援会機関紙にもたびたび大成は広告を出している。
まず、五輪のメインスタジアム・新国立競技場の建設工事を受注したのはその『親密』な大成建設を中心としたJVである。大成はザハ案が撤回され、設計コンペをやり直したが、再び受注に成功している。このスタジアムの総工費は約1490億円だが、さらに膨らむことは間違いないだろう。
評判のすこぶる悪いカヌー・ボート会場「海の森水上競技場」も大成のJVが約249億円で落札している。それも、週刊文春によると、入札に参加したのは大成のJVだけで、予定価格が約249億円だったのに、入札価格はそれよりわずかに31万円安いだけだった。事前に予定価格を知らされていた「官製談合」(法政大学・五十嵐敬喜名誉教授)を疑われても仕方あるまい。
それに、この場所はコース内に小さな橋が架かっていて、そのままでは競技ができないため、橋を架け替える必要がある。その費用が300億円弱かかるが、「都はこの撤去費用を環境局の予算に付け替えました」(元東京都港湾局の市川隆夫氏)。都民を愚弄する話である。
まだある。バドミントン会場になる「武蔵野森総合スポーツ施設」の空調工事は、森氏の地元の空調設備会社・菱機工業が約33億5000万円で受注しているという。 森氏が率いる組織委員会は、やはり森氏が昔から親しい森ビル所有の虎ノ門ヒルズで、年間の賃料は約5億円にもなるそうだ。小池都知事の側近、若狭勝衆院議員は「正当な理由もないまま多額の家賃を払っていれば、責任者が背任罪に問われる可能性もあり得る」と話している。
読む限り、現役総理の時、サメの脳みそしかないといわれたが、その人脈を利用して生きながらえてきた森氏だが、今回は相当分が悪そうである。
いっそ築地も豊洲も使うというのはどうだろう・・・今さら移転中止も難しい
お次は築地市場の豊洲移転はどうか。週刊現代は小池都知事は豊洲移転延期ではなく、中止にするはずだと報じている。ほんとかいな? 小池都知事は、築地の老朽化が激しいことは事実だから、築地を使い続けるために改修工事をする。その工事が終わる数年間は豊洲を仮設の市場にするというのだ。
それでは五輪道路といわれる環状2号線はどうするのか。小池と側近たちが考えているのは、市場の南西をかすめるように通っている仮設道路を今後も使うという案で、これならば築地市場の8割は維持できるからだというのである。
しかし、そうなればさらに費用が膨らんでいくことは間違いない。人気取りだけでやってしまうと収拾がつかなくなってしまうのではないか。
週刊新潮は築地の大物たちを登場させ、小池案に大反対だといわせている。たしかに築地の老朽化はどうにもならないところまで来ているし、すでに豊洲に民間業者が数百億円投資し、冷凍施設は電源を入れて稼働しているため、電源を落とすことはできないそうだ。こうした維持管理費だけで、来春まで移転が延びれば数十億円になるといっている。
さらに、移転の障害になっている地下水のベンゼン濃度だが、「現在の数値を見ると、全く問題ない。(中略)豊洲の土壌は2メートル掘り返して清浄土と入れ替えた上、2・5メートル分、清浄土で盛り土をしており、手厚い土壌改善といえるでしょう」と、京都大学大学院工学研究科の米田稔教授にいわせている。
私は、五輪会場建設についての小池都知事の問題提起は真っ当だし、小池都知事はこのまま押していけば、内田氏や森氏は『退治』できるのではないかと思う。難しいのは豊洲のほうである。私も築地には愛着があるし、あの場所にいてもらいたいが、豊洲移転問題は長い時間をかけて、大方が仕方なくでも合意したものを覆せるのだろうか、疑問である。
私は築地と豊洲の二つの市場をつくり、共存させていけばいいと思うのだが、どうなるのだろう。今週は築地へ行ってうまい魚でも買いながら、様子を見てくるつもりである。
大橋巨泉さんの「お別れ会」・・・気丈な寿々子夫人と手を取り合って少し泣いた
9月5日(2016年9月)に大橋巨泉さんの「偲ぶ会」が品川のグランドプリンスホテル新高輪・国際館パミールで開かれた。新聞発表では出席者600人。5時からお別れの会。弔辞はホリプロの堀威夫氏、河野洋平氏、王貞治氏、関口宏氏。続いて献花。献花して「ありがとうございました」と巨泉さんの遺影に挨拶した。本人が気に入っていたという中央の写真は優しく私を見つめていた。
妻で喪主の大橋寿々子さんは気丈に挨拶に来る人たちと話していたので、少し元気になったのかなと思って見ていた。行こうかと思ったが、来る人が途切れないので遠慮した。寿々子さんは挨拶で「主人はわがままな人でしたがとても優しかった」と語った。
宴会場へ入る長い列が進み、出席者に挨拶する寿々子さんと弟の哲也さんと目があった。寿々子さんのほうから「元木さん!」と声をかけてくれた。手を差し出して私の手を握ってくれた。少しやつれが出た顔は今にも泣きそうだった。私も少し泣いた。
宴会場で河野さん、関口さんたちに挨拶。帰りにもらった「御礼」にはこう書いてあった。少し長いが、巨泉さんの思いが詰まっているので紹介したい。
「故人は1934年当時の東京市本所区東両国(現墨田区両国)に生まれ、国の皇民化教育を受け軍国少年として育ちましたが、1945年8月15日の敗戦により価値観の大転換を余儀なくされました。『価値観の転換は一生に一度で沢山だ』というのが故人の口癖でした。
以来、数百万人の命と引き換えに得た『平和』と『自由』を守ることを第一義とし、70年間ブレる事無くその価値観を貫いてきました。
故人は『人間が自由である限り他人の意見を尊重するが、無知や嘘や欲得で意見を変えるのは許せない』として、大切にしてきた週刊現代のコラムの『今週の遺言』の最終回でさえも戦争の愚かさを説き、日本を戦争に向かわせようとする安倍総理に異を唱えました。
近年、自分の価値観を簡単に変える人が居ますが、敗戦で得た『平和と自由を守る』とする価値観を70年間に亘って主張し続けた故人を誇りに思っております」
あの巨泉さんにしてこの妻あり。せめて安倍政権崩壊まで見届けてほしかった。合掌。
週刊文春「メリー喜多川」新連載スタート!私も猛烈抗議受け左遷された経験
さて、週刊文春は「メリー副社長の正体」という緊急連載を始めた。弟のジャニー氏が温厚なのに比べて、メリー氏の事務所所属のタレントに対する厳しさや、スキャンダルを報じたメディアへの抗議の凄まじさは有名である。
<事務所の2階に『説教部屋』と呼ばれる部屋があり、メリーにそこへ呼び出されたら何時間でもみっちり叱られ続ける><酒豪として知られ、焼酎をロックで頼み、チェイサーの水で割りながら飲む。野菜はほとんど食べないが漬け物は好き><メリーは話し合いの時には必ず録音をとる>などと報じている。
目新しいのは、彼女の父親は高野山大学を出て真言密教を布教するためにアメリカへ行ったという件で、<メリー氏の父・喜多川諦道氏は、ロサンゼルスの高野山別院で第三代主監を務めた高名な僧侶だった。諦道氏の葬儀は大阪の三津寺で盛大に行われ、僧侶が多数参列した記録があった>(週刊文春)
私も35年ほど前にメリー喜多川氏の逆鱗に触れ、あまりの凄さに私のいた出版社は、私を婦人雑誌に飛ばすことで彼女と和解した。
それは彼女の弟に関する「ホモ疑惑」だったが、故人になったノンフィクション・ライターの朝倉恭司氏が取材を担当した。生前、彼からその取材の時の模様を聞いたが、メリー氏のおっかなさがよくわかった。朝倉氏によれば、朝倉を部屋に呼び入れ、2人きりになったとき、こういったというのだ。
「あなたね、私がここで服を脱いで、強姦されたと騒いだらどうする?」
取材に関しては百戦錬磨の彼が、その時だけは「彼女ならやりかねない」とゾッとしたといっていた。
一度メリー氏にこのことの真偽を確かめようと思ったが、残念ながらその機会はなかった。よかったら週刊文春さん、聞いてみてくれない?
ネットメディアいい加減で信用できないか?「ビジネスジャーナル」捏造記事は論外だが大新聞にもあるぞ
ところで、私には日本インターネット報道協会代表理事という肩書きがある。これは私がオーマイニュースを辞めたとき、JANJANの竹内謙氏(故人)やJ-CASTの蜷川真夫氏、ビデオニュースの神保哲生氏らと、インターネットの中にしっかりしたジャ-ナリズムをつくろうという目的でつくった組織である。講演会や勉強会などをやってきているが、正直、まだ道半ばである。
そんな私のところへ週刊文春から話を聞かせてくれと電話があったのは先週末であった。ネットメディアである「ビジネスジャーナル」が出したお詫びについてである。
NHKがニュース番組内で流した「子供の貧困」特集の中で、登場した母子家庭の女子高生が、エアコンのない部屋に住み、パソコンが買えないのでキーボードだけを母親が買ってくれたと語ったそうだが、「ビジネスジャーナル」は映像にはエアコンが写っていたとヤラセではないかと疑問を呈し、NHKへも問い合わせたと報じたが、まったくの事実誤認で、さらにひどいことに、NHKへの問い合わせも捏造だったというのだ。
論じるに価しないお粗末な記事だが、週刊文春の取材意図は、インターネット・メディアの現状はどこも同じではないのか、その現状を話せというものだった。まず私がいったのはこうだ。大新聞だってときどきそういうとんでもない捏造記事が問題になるのだから、ネットメディアだけに限った問題ではない。
それが気に入らなかったのだろうか、2時間近く話したのに、記事中に引用されたのは以下の部分だけだった。やれやれ。<「ネットメディアには取材や原稿のイロハのイも分からない人も多い。書き手やチェックする編集者のレベルをどう上げるかが、ネットジャーナリズムの大きな課題となっているのです」>
私がこの連載をしているJ-CASTについても聞かれたが、私は、蜷川さんをはじめ、あそこは元朝日新聞の人が多いから、チェック体制はしっかりしていると話したが、新聞などからの引用記事が多いのではと何度も聞いてきた。
もしかすると、お前の「深読み週刊誌」は週刊誌からの引用ばかりで、批評になっていないではないかといいたかったのかもしれないなと、記者が帰った後でそう思った。今週のは引用の範囲ですかな、週刊文春さん?
「ビジネスジャーナル」を含めて、いくつものメディアを出しているのはサイゾー社で、別のメディアだが、私も週刊誌評を書いているが、週刊文春によれば、ここは年商11億円を誇る業界最大手だそうだ。
そうならサイゾー社の揖斐社長にいいたい。記事のクオリティを上げる体制をつくるなら、原稿料をもうちっと上げたほうがいいのでは。